フェアウェイをとらえたはずのショットが…
一打目でイメージ通りのショットを打つことに成功したものの、二打目地点へ行ってみたら、芝が削れたディボット跡や、その跡を埋めた砂の上にボールが止まっていた、ということが稀にある。このような状況からのショットはとても難しい。
一打目で最高のショットを打つことができたにもかかわらず、たまたまボールが止まったところがディボット跡だったというのは運が悪いとしか言いようがない。ただ、その不運を嘆いていても状況は好転しない。会心のショットが必ずしも良い結果につながるとは限らないのがゴルフ。気持ちを切り替えて、その難しい状況を乗り越えたい。
時松隆光の最終日18番ホール第2打
6月9日から12日に開催された男子ゴルフツアーASO飯塚チャレンジドは池村寛世(ともよ)が、最後しびれる1.5メートルのパットを決め、1打差で今季初優勝を挙げた。
最終日に池村と同じ最終組で優勝争いを繰り広げ、2打差で4位タイに入ったのが時松隆光。自身が選手会長時代に発足に向けて関わった、思い入れが深い地元の大会をプレーで盛り上げた。
最終日の2打差で迎えた18番ホールの不運がなければ優勝の可能性もあった。一打目を狙い通りにフェアウェイへボールを運んだ時松。しかし、ボールは無情にもディボット跡に止まった。バーディーを取るしかない状況で、そこからピンをデッドに狙ったが、ミスヒットになり大きくショート。万事休すとなった。
仮に、一打目の止まる位置があと10センチずれてライが良ければ、時松のバーディーの確率は上がり、試合展開はどうなっていたか分からなかった。
時松がバーディーでも、池村がパーであれば追いつくことができず、池村の優勝は変わらない。だが、時松が二打目をベタピンにつけるか、池村の1.5メートルのパーパットよりも先にバーディーパットを沈めていれば、池村の緊張感がより高くなり、パーパットが違った結果になっていた可能性は十分にある。
時松がバーディー、池村がボギーとなっていれば、時松、池村、久常涼、ブラッド・ケネディの4名でのプレーオフになり、時松の優勝の可能性も残されていた。
ディボット跡からのショットが難しい理由
ディボット跡からのショットがなぜ難しいのか考えてみたい。
芝の上のボールというのは、ボールの下にスペースがあるが、ディボット跡のボールは下にスペースがない。そのため、芝からのショットではクラブヘッドの軌道が緩やかなアッパーブローでもボールに当たるのに対し、ディボット跡では緩やかであってもアッパーブローではうまくボールをヒットすることができない。芝からよりも確実に適度なダウンブローインパクトが求められるのだ。
また、芝からのショットは多少ダフってもソールがすべり、ボールに力が伝わるため、ある程度飛距離を出せる。一方、ディボット跡からのショットでは少しでもダフると、ボールに力が伝わらず飛距離を出すことができないのだ。
ボールをクリーンに打つ
ディボット跡や薄い芝などの悪いライからは、ボールをクリーンにヒットする必要がある。“少しのダフりも許されない”といった気持ちの準備が必要だ。
より確実にクリーンにヒットするためには、(右打ちの場合)右足寄りにボールを置く、アドレスで左足に多めに体重をかける、クラブを短めに持つ、などの対応策が挙げられるが、いずれも過度にやり過ぎると、通常時のスイングバランスを保つことが難しくなるので注意したい。
時松のミスヒットからもわかるように、ディボット跡からのショットはツアー選手でも難しい。グリーンに乗せる狙いは捨て、“グリーンまわりまでボールを運べればOK。グリーンに乗ればラッキー”という気持ちで臨めると良い結果になりやすいだろう。
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