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日本人初米ツアー優勝の地で見えた 日本男子ゴルフの明るい未来

2022 1/20 06:00akira yasu
松山英樹,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

松山英樹がアジア人最多タイの8勝目

松山英樹は1月13日~16日に開催されたソニーオープンの最終日、バックナインで5打差を追いつく圧巻のプレーを披露し、プレーオフに持ち込んだ。そして、プレーオフ1ホール目の2打目でスーパーショットを放ちイーグルを奪取。米ツアー8勝目を手に入れた。

昨秋、日本で開催されたZOZOチャンピオンシップも最終日最終ホールのイーグルで決着。松山自身、このイーグルにつながった2打目を2021年のベストショットに挙げている。

ZOZOもソニーオープンもウィニングショットはフェアウェイウッド(ZOZO:5番ウッド、ソニーオープン:3番ウッド)で、球筋はフェード。土壇場で見せる、飛距離だけでなくスピン量もコントロールされた精度の高さは、ショット力の松山、をあらためて感じさせるものとなった。

今回のソニーオープンには松山の他に、小平智、中島啓太、金谷巧実、星野陸也、石過功一郎、計6名の日本人選手が出場。全員、米ツアー志向が高い選手たちだ。

小平は12位で上位フィニッシュ。中島は2日目終了時点では首位と6打差の5位につけるなど、米ツアーでも戦える力があることを示した。

1983年、青木功がソニーオープンと同じ会場で開催されたハワイアンオープンで、日本人初の米ツアー優勝を果たした。日本ゴルフ界と世界のゴルフ界の距離は縮まり、後に丸山茂樹や今田竜二などの米ツアー優勝につながった。

今回のソニーオープンも、これからの日本男子プロゴルフ界にとって大きな意味を持つ大会となった。

中島啓太はタイガー・ウッズと同じマネージメント会社に

中島は、2日目終了時点では「1991年のフィル・ミケルソン以来の米ツアーアマチュア優勝か」という声も聞かれるほどの活躍を見せた。

中島は飛距離が出る。身長177センチと米ツアーでは大きい方ではないが、ソニーオープンではドライビングディスタンス26位タイ(302.6ヤード)と高水準を記録した。

ただ、もともと飛ばし屋ではなかった。ジュニア時代に海外(アジア)の試合に出場し始めた頃は、ドライバーショットがフェアウェイまで届かなかったこともあったという。

そこから厳しいトレーニングで体を鍛え、今の飛距離を手に入れた。「日本人は生まれ持った筋力が欧米人と差があるため、飛距離の面で不利」と言われる。だが、日本人の中でもパワー面で恵まれていたわけではなかった中島の成長は、筋力や飛距離の面でハンデがある選手やジュニアの希望になるのではないだろうか。

また、大会のあった週に、タイガー・ウッズと同じエクセルスポーツマネージメント社の所属になったことが発表された。中島がロールモデルとしているコリン・モリカワも所属しているマネージメント会社で、世界が中島のポテンシャルを高く評価していることがわかる。

高校と大学がアメリカの石過功一郎

昨年、日本のプロテストに合格したばかりの石過功一郎が、予選会(マンデートーナメント)を突破し、本選に出場。プロ転向後初の試合が米ツアーとなった。

石過は高校からアメリカに留学し、そのままアメリカで過ごした。そして、フィル・ミケルソンやジョン・ラームを輩出したアリゾナ州立大学を卒業。

出身地である兵庫県の練習拠点で過ごしている時期もあるようだが、ソニーオープン後は、母校の最高の練習施設を利用できることもあり、アメリカに残って予選会に挑戦していくようだ。

今回の石過の米ツアーデビューは、日本の高校から日本の大学へ進学、もしくはプロ転向以外のルートもあるということを、これまで以上に訴えるものとなったのではないだろうか。

早期に渡米する選手が増加する?

多くの男子選手は「いずれは米ツアーに」という目標を掲げている。しかし、日本ツアーの世界ランキングへ反映されるポイントが減ることになったため、「日本ツアーで好成績を挙げて稼いだポイントでメジャーや米ツアーに出場し、米ツアー本格参戦へつなげる」ということは難しくなった。

これは、世界的に日本ツアーの評価が下がったということを意味する。世界を見据える選手は米ツアー予選会などに挑戦し、米ツアー出場権を自分の手で掴み取りに行かなければいかなくなった。

これまでよりも視線を日本ではなく、世界に向けなければいけなくなる、という点では日本人選手の世界基準化に向けてポジティブに働くのではないだろうか。

日本男子プロゴルフ界をリードし続ける松山。早い時期から米ツアーを意識し、ゴルフの技術だけでなく、フィジカルや語学も磨いてきた中島。早くからアメリカを拠点にしている石過など、米ツアーへ向けて高い意識を持って戦っている選手の活躍は、頼もしく映る。

米ツアーやメジャーで、日本人選手同士の優勝争いに期待してみても良いかもしれない。

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