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渋野日向子だけじゃない! 作陽高出身ゴルファーは男女とも注目株が目白押し

2021 11/21 06:00akira yasu
尾関彩美悠,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

岡山県作陽高校

渋野日向子の出身校である岡山県作陽高校出身の選手が、これからの注目株になりそうだ。作陽は福岡の沖学園、兵庫の滝川第二、埼玉の埼玉栄、宮城の東北といったゴルフ強豪校と比べると、知名度は低い。

だが、2008年と2015年に女子団体戦で全国高等学校ゴルフ選手権を制するなどの実績があり、渋野以外にもプロゴルファーを輩出している。2021年度の女子プロテストでは、合格者21名の内、トップ合格の尾関彩美悠を含む4名が作陽出身だった。

男子でも同校出身の選手が目覚ましい活躍を見せている。今年プロデビューした19歳の久常涼は、レギュラーツアー10戦(11月14日時点)で賞金シードはほぼ確定。飛ばし屋で大器と謳われていた幡地隆寛も、三井住友VISA太平洋マスターズでは最終日最終組で優勝争いに加わるなど、今年飛躍を遂げた。賞金ランキングは36位で、初シードも手中に収めている。

2022年、作陽出身選手勢い増すか

渋野(1998年11月生)以外にも、2011年の伊藤園レディスで優勝した藤本麻子(1990年5月生)などが女子プロとして活躍している。そこに今年、尾関(2003年6月生)、丹萌乃(1996年11月生)、須江唯加(1999年7月生)、成澤祐美(1997年11月生)の4名が加わった。

渋野と同学年はいないものの、尾関以外の3名は渋野と高校在学がかぶっている。成澤は2015年の全国高等学校ゴルフ選手権・団体女子を制した時のメンバーに、渋野とともに入っていた。

渋野は来年、米女子ツアーに挑戦する予定だ。ゴルフファンにとっては、日本で彼女のプレーを見る機会が減るのは残念だろう。しかし、高校時代、彼女と同じ時間を過ごし刺激を受けてきた作陽出身選手たちが、渋野不在の日本女子ゴルフを盛り上げてくれるに違いない。

世界を目指す久常涼と幡地隆寛

男子選手では珍しく大学へ進学せず、高校卒業後即プロとなった久常(2002年9月生)。AbemaTVツアー(下部ツアー)で3勝を挙げ、レギュラーツアー出場権を獲得した。そして、バンテリン東海クラシック9位タイ、三井住友VISA太平洋マスターズ4位タイ、などの好成績により来季のシードをほぼ確定させている。

久常の持ち味は飛距離で、ドライビングディスタンスが301.33ヤード。ラウンド数不足のため、ランキングされていないが5位相当(11月14日時点)の数字だ。

幡地(1993年6月生)も188センチ98キロの恵まれた体格を生かした飛距離が売りだ。昨季(2019)のドライビングディスタンスは315.30ヤードで、1位と0.53ヤード差の2位。今年は313.42ヤードで堂々1位(11月14日時点)だ。

世界基準の飛距離を叩き出せる二人は、ともに海外志向。10月のZOZOチャンピオンシップに推薦で出場した久常は、4日間米ツアー選手と戦った。それだけでなく、松山英樹と練習ラウンドをするなど、憧れの舞台を体感したことで、米ツアーへの想いを一層強くしただろう。

28歳の幡地は、来年米ツアーの予選会に挑戦することを明かした。実績で見れば挑戦するには時期尚早かもしれない。だが、飛距離という武器を持っていることや、世界でも若い世代が台頭する中で、挑戦できる時間はそう多くないことなどから、来年挑戦する決意をしたのだろう。

高校ゴルフ部といえば「作陽高校」になるか

藤本や尾関、久常は、ジュニア時代にナショナルチームメンバー入りするほどの実績を持つ。このような作陽高校選手の活躍は、練習や大会参加などの環境に恵まれていることが大きいだろう。また、渋野や幡地のようなスケールの大きな選手が、個性を大事に将来に向けた土台を作れる風土も同校にはあるのではないだろうか。

同校は男女のサッカー部が全国区の強豪校として認知されている。ゴルフ部員がサッカー部に負けない実績を積み重ね、出身プロがさらに活躍すれば、これからは、作陽といえばゴルフ部、高校ゴルフ部といえば作陽、となる日がくるかもしれない。

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