スマッシュファクターの理想値は1.48以上
弾道の性質を示すスマッシュファクターという項目を知っているだろうか。どれだけ効率よくボールに力を伝えられたかを表す数値で、ミート率とも言われている。
ドライバーのスマッシュファクターの理想値は1.48以上とされている。世界最高峰のツアーである米ツアーにおける2019年度の平均スマッシュファクターは、62位タイまでが1.50を超えており、164位までが1.48超を記録していた。
ミート率というと、どれだけクラブフェースのスイートスポット(芯)でボールをとらえているか、という印象を持つゴルファーもいるだろう。しかし、理想的なスマッシュファクターを得るためには、打点だけでなくインパクト時のクラブヘッドの入射角やクラブフェースの向きを適正にする必要があるのだ。
スマッシュファクター=ボールスピード÷クラブスピード
この計算式からもわかるように、スイング時のエネルギーをどれだけ効率よくボールに伝達できたかで結果は大きく変わってくる。
インパクト時に、過剰なダウンブローになっていたり、クラブフェースが開きすぎたりしていると効率よく力を伝えられず、ボールスピードが出にくくなるため、理想のスマッシュファクターから遠ざかってしまう。
クラブスピードとボールスピード
クラブスピードとはインパクト時のクラブヘッドスピードのことで、ヘッドスピードとも呼ばれる。クラブスピードが速ければボールスピードも速くなりやすいので、飛距離に与える影響が大きい。0.4m/s上がれば2ヤード距離が伸びるとされている。
米男子ツアーのクラブスピード平均値は51m/s、米女子ツアーの平均値は42m/sで一般男性のクラブスピードは米女子ツアーの平均と同程度と言われている。
また、インパクト直後のボールのスピードのことをボールスピードと言い、こちらも数値が大きければ大きいほど距離が出やすくなる。米男子ツアーの平均値は75m/s、米女子ツアーの平均値は63m/s。一般男性のクラブスピードが米女子ツアー選手と同程度であることから、スマッシュファクターをもとに計算すると、62.2m/s以上を理想値として良いだろう。
ただ、飛距離を出すためにはボールスピードに加え、打ち出し角が適正であることも重要だ。米男子ツアーの打ち出し角の平均値は約13度。米女子ツアーの平均値は約11度だ。打ち出し角が低い方が、ボールスピードが速くなることが分かっているが、低すぎるとボールスピード、スマッシュファクターが理想値でも飛距離を出すことが難しくなる。
飛距離を出すためにはスマッシュファクターも大切だが、打ち出し角にも注意を払わなければならない。
手を早く振ろうとしないことがポイント
クラブスピードやボールスピードを上げようとして、手を速く振ると、クラブフェースが開いたままのインパクトになったり、過剰なダウンブローになったりして、手ごたえの割にはボールに力が伝わらない。スマッシュファクターも大きく下がってしまう。
ゆったり振るとフェースの開閉がスムーズになり、クラブヘッドの入射角がレベルからアッパーブローになりやすい。それが理想的なスマッシュファクターに繋がる。よって、まずは理想的なスマッシュファクターを体感するために、ゆったり振ることをおすすめする。
手を速く振るのであれば、インパクト前後の左右の手の入れ替えがポイントになる。手を速く振れば振るほど左右の手の入れ替えは難しくなるが、スムーズに両腕の前腕を回旋させて左右の手を入れ替えたい。
スマッシュファクターの計測には弾道測定器が必要
これまで「飛距離アップ=クラブスピードアップ」という印象を持っていた読者は多かったのではないだろうか。クラブスピードは飛距離に直結するので間違ってはいないが、スマッシュファクターを見直すことで、クラブスピードが現状のままでも飛距離アップの余地が見えてくるのだ。
スマッシュファクターを測定するには弾道測定器が必要で、主にインドアゴルフ施設で使用できる。クラブスピード、ボールスピード、スマッシュファクターを測定できる、ポケットサイズのスイング測定器もあり、1万円前後で購入可能だ。
インパクトの質に目を向けて飛距離アップを目指してみてはどうだろうか。
ゴルフのスコアアップに役立つ記事一覧