ルクレールが2年連続PP獲得
第7戦モナコGPはF1にとって特別なレースで、伝統と格式のある1戦だ。年に1回の特別なグランプリに今年も世界中のファン、そして著名なセレブたちが集まり、華やかに開催された。これまでチェッカーすら受けたことがないモナコ出身のシャルル・ルクレール(フェラーリ)が悲願の母国制覇を達成できるのかに注目が集まった。
予選では2年連続でルクレールがポールポジションを獲得。悲願の母国初優勝に向けて絶対条件ともいえるポールポジションを手中におさめた。2位には同じくフェラーリのカルロス・サインツ(フェラーリ)、3位にはセルジオ・ペレス(レッドブル)、ランキングトップのマックス・フェルスタッペン(レッドブル)は4番手からスタートする。
予選までは晴天で、路面温度は50度を超えるなど晴れの天気が続いていたモナコだが、決勝当日は一転して雨予報。スタート直前に雨が降り出し、ウェット宣言となる。
雨により大幅に遅れたスタート
ウェットタイヤの選択に各陣営頭を抱える中、雨が降り続いたことからスタート開始手順の延期が発表され、レーススタートは予定開始時間よりさらに遅れることになった。
午後3時16分にようやくSC(セーフティーカー)先導でレースがスタートしたが、低速でもアクアプレーニングが起きるほど路面状況が悪化しており、赤旗が提示された。結局、本来のスタート時刻から1時間以上経ち、ようやくレースが再開。再びSC先導でスタートし、3周目からレースが再開された。
予選で後方に下がってしまったピエール・ガスリー(アルファタウリ)がいち早くピットインし、タイヤをインターミディエイトに交換する。コース復帰後はまだ濡れている路面に苦労するも、6周目にはファステストラップを記録する。勢いそのままに13周目には一気に12位までポジションをあげた。
ピットインのタイミングがポジションに影響
ガスリーのタイムを見て各車タイヤをインターに交換。トップ集団ではまずペレスが16周目にピットインし、タイヤをインターへ。18周目にトップのルクレールと4位のフェルスタッペンがピットイン。インターに交換しコースに戻ると、ルクレールはペレスの後ろでの復帰となりポジションを落としてしまう。フェラーリはピットに呼び込むタイミングが遅れてしまったのだ。
20周目、トップ集団で一番ピットストップを遅らせたサインツがようやくピットイン。路面が渇きつつある状況を見て、サインツはインターではなくドライタイヤのハードを装着する。その直後では「ボックス」「ステイアウト」と情報が交差する中、ルクレールもピットに入りサインツ同様ハードタイヤを装着する。
22周目にレッドブル勢もペレスとフェルスタッペンを呼び込み、ダブルストップを敢行。2台ともハードに履き替えるも、後ろのフェルスタッペンはペレスのピットストップを待つ羽目になり、サインツの前でコース復帰することが出来なかった。それでもフェルスタッペンはルクレールの前でレースに戻り、オーダーはペレス、サインツ、フェルスタッペン、ルクレールとなった。
27周目に大クラッシュ発生で赤旗中断中
タイヤ交換が終わり、天気も落ち着いてきた27周目に大クラッシュが発生した。プールサイドシケインでミック・シューマッハ(ハース)が単独のスピンからウォールに激突。マシンは真っ二つになるほどの衝撃だったが、シューマッハは無傷で無事にマシンを降りている。このアクシデントによりマシンの撤去、そしてタイヤバリアの修復のためSCが導入されたが、31周目に再び赤旗が出された。
赤旗中断中はタイヤを交換することができる。レッドブル勢はここで新品のミディアムタイヤを装着。一方フェラーリはタイヤを変えることなく、ハードタイヤのままでレース再開を待つ。フェラーリは新品でもミディアムタイヤの寿命がレース終了時まで保たないと考え、ハードで残り周回を走り切る作戦にでた。
33周目にレースが再開。ペレスがリスタートを決めるもミラボーの飛び込みで痛恨のブレーキをロックさせ、タイヤにフラットスポットを作ってしまった。
ペレスが初のモナコウィナーに
度重なる赤旗、延期によりレースは3時間ルールが適用される中、レース終了まで残り10分の時点でトップ4台の間隔が1秒を切る手に汗握る展開に。やはり最終盤にきてタイヤのグリップが減ってきたレッドブル勢に、フェラーリ勢が食らいつく。
特にグリップの低下に加え、リスタート時にフラットスポットを作ってしまったトップのペレスにとっては厳しい状況。そこに初優勝を狙うサインツが襲いかかるも、ペレスがコーナーの出口でトラクションをかけしっかり押さえ込み、トップでチェッカーフラッグを受けた。
2位には昨年と同じくサインツが入り、フェルスタッペンが3位、ルクレールはまさかの4位で、またしても母国優勝を果たすことが出来なかった。
通算3勝のペレスがモナコウィナーの仲間入り。これまで献身的に黒子役に徹してきたペレスは、前戦スペインGPでもタイトル争いを繰り広げるフェルスタッペンのサポートに回っていた。勝ちたい気持ちを押さえ込み任務をまっとうした仕事人に、モナコの女神はご褒美を与えたのだ。
モナコにはじめて響き渡るメキシコ国歌を耳にし、涙を流すペレスの姿に多くのファンが感動しただろう。英雄の快挙に地元メキシコは大盛り上がりを見せているに違いない。
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