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【F1スペインGP】フェルスタッペンが優勝、レッドブル1-2で両選手権トップに 角田裕毅は10位

2022 5/26 17:00河村大志
2022年F1第6戦スペインGP表彰式:優勝マックス・フェルスタッペン/レッドブル、2位セルジオ・ペレス/レッドブル、3位ジョージ・ラッセル/メルセデス,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

トラブルを乗り越えフェルスタッペンが3連勝

第6戦スペインGPは第2の開幕戦とも言われ、各チームは大型なアップデートを持ち込むことでも知られている。今回のアップデートにより、これまでの勢力図に変化がもたらされるのかに注目が集まった。

予選ではこれまでの勢力通り、シャルル・ルクレール(フェラーリ)がポールポジションを獲得。唯一1分18秒台という圧巻のポールラップを記録した。2位に目下2連勝中のマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、3位には母国での初優勝を狙うカルロス・サインツ(フェラーリ)が入った。

レース当日は週末を通して一番の暑さを記録し、気温36.4度、路面温度48.9度の中で行われた。決勝はいきなり波乱の展開に。ポールのルクレールが1コーナーを制し、フェルスタッペンが続く中、4位スタートのジョージ・ラッセル(メルセデス)が3番手に浮上、セルジオ・ペレス(レッドブル)も一つポジションを上げ4番手につけた。

一方順位を落としてしまったサインツが5位につける中、ルイス・ハミルトン(メルセデス)とケビン・マグヌッセン(ハース)が接触、2台ともダメージを負いピットに戻り、最下位でコースに復帰する。

母国スペインで優勝を目指すサインツだったが、7周目のターン4で単独スピン、11位でコース復帰。9周目の同じコーナーでフェルスタッペンもコースオフ。トラブルやミスではなく、風の影響により挙動を乱したようだ。

ルクレールが快調にトップを走行する中、フェルスタッペンはなんとか挽回しようとプッシュ。しかしDRSが使えないトラブルが発生し、なかなかラッセルを捉えることができない。開幕戦からこれまで、マシンのポテンシャルが今ひとつだったメルセデスだったが、アップデートによりスペインから走りが改善。特にストレートスピードが伸びるため、フェルスタッペンはDRSがないと抜くのが難しい状態だった。

トップを快走し、ピットストップも順調にこなしていたルクレールだったが、27周目に突然スローダウン。なんとピットインしリタイヤとなってしまった。これでトップに立ったのはメルセデスのラッセル。ポテンシャルの高いマシンを手に入れたラッセルはこれまでの鬱憤を晴らすようにトップを走る。

そのラッセルに抑え込まれていたフェルスタッペンがアンダーカットを狙い、29周目にピットイン。31周目にはペレスがラッセルをパスしトップに浮上。オーダーはペレス、ラッセル、フェルスタッペンの並びとなった。

圧倒的なスピードでラッセルに迫るフェルスタッペン。38周目に追いつくが、このタイミングでラッセルがピットインし、フェルスタッペンが2位に浮上した。しかし中古のソフトタイヤを装着しているフェルスタッペンはもう一度ピットストップが必要なため、チームはペレスにピットインを指示し、2度目のピットインを敢行。ラッセルの前で戻ったペレスはフェルスタッペンの援護に回る形となった。

44周目にフェルスタッペンが3度目のピットインを行い、2位でコースに復帰。49周目には順位を入れ替え、フェルスタッペン、ペレスの並びでレッドブル1-2体制が構築された。

最終盤、最後尾から順位を上げていたハミルトンがソフトタイヤに履き替えファステストラップを記録。それを見たレッドブル陣営がペレスをピットに入れソフトに交換、ペレスは作戦通り最速タイムを奪い返した。

タイヤ交換によりペースが速いハミルトンはサインツをパスし、4位まで浮上。しかし、残り数周でメルセデスチームは2台にスロットルを緩めるように指示。これによりサインツがハミルトンを抜き返し、4位を取り返すことに成功した。そしてチームメイトのサポートを受けたフェルスタッペンがトラブルやコースオフを乗り越え優勝。3連勝を達成し、ついにドライバーズランキングのトップに浮上した。

2位にはペレスが入りレッドブルが1-2フィニッシュ。コンストラクターズでもレッドブルがフェラーリを逆転しランキングトップに立っている。3位はメルセデスのラッセルが入った。トラブルを抱えているとはいえ、フェルスタッペンの猛攻を防いだラッセルのブロックは見事で、開幕6戦目にしてついにチャンピオンチームが本来の力を取り戻しつつあることが証明された。

アップデートがない中、ポイントを獲得した角田

上記の通り、各チームアップデートを施す中、これまでのパッケージで臨んだアルファタウリにとって厳しいレースとなった。

チームメイトのピエール・ガスリーはトラブルに見舞われたが、角田裕毅がしっかりデータを収集し、セットアップに反映。角田の献身的な仕事ぶりにより、アルファタウリは苦しい環境の中で2台とも予選Q2 に進出することができた。

角田の活躍はフリー走行や予選のみならず、決勝でも見ることができた。レースでもペースを維持し、コース上でオーバーテイクも披露した。後半スティントで履いたソフトタイヤとのマッチングに苦労し、順位を争っていたフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)の先行を許してしまったが、それでも10位でフィニッシュ。貴重なポイントをチームに持ち帰った。

スペインGPで角田は自分ができる最高の仕事をこなした。昨年は学びのシーズンだったが、昨年最終戦の良い流れをうまく引き継いでいる。チームが求めていること、しなければいけないことを理解し実行に移した角田からは、F1ドライバーとしての進化を感じることができた。

次戦は伝統のモナコGP

次戦はどのドライバーにとっても特別でステータスともいえる伝統のモナコGP。今シーズンのマシンの特徴を考えると圧倒的にフェラーリが有利といえる。

狭い市街地サーキットであるモナコには最高速ではなく、ドライバビリティの高いマシンが求められる。今シーズン、ストレートスピードは劣るものの、コーナリングの速さが際立つフェラーリのマシンはモナコに適したマシンといえる。そして母国凱旋となるルクレールにとってモナコ制覇は悲願。この1戦に賭ける想いは誰よりも強い。

しかし、これまでミスや不運により優勝はおろか表彰台すら獲得できていないルクレール。昨年モナコでは2位表彰台を獲得したチームメイトのサインツ、そしてレッドブルやメルセデスといったライバルたちを相手に、最速のマシンを手に入れたルクレールが初の母国優勝を達成するのかに注目が集まる。

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