ミラノの銀盤での4回転アクセル
2026年ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪までカウントダウンが始まった。フィギュアスケート界最大の関心事は、イリア・マリニンによる「4回転アクセル(4A)」の投入だ。かつてはリスクを考慮し封印することすらあったこの大技だが、直近のニュースでは、彼が五輪の大舞台でこのジャンプを組み込む意欲を示唆していることが報じられた。
果たしてその決断は、勝利への「最短距離」なのか。マリニンの過去データから得点シミュレーションを実施しAIで分析したたところ、圧倒的なアドバンテージが存在することが判明した。
期待値「13.69点」が示す、リスクを凌駕するリターン
「失敗すると、クリーンな3Aよりも低いポイントになってしまう」。マリニンは過去、4Aの投入についてシビアな自己分析を行っていた。
実際に、マリニンは4Aを封印した構成でもフリースケーティングで200点を超えるスコアを記録しており、4Aがなくとも頂点に立つ実力がある。100%の成功が保証されない4.5回転という未知の領域に対し、「安全な3Aで確実に勝つ」という選択肢は、かつての彼にとって極めて現実的な戦略であった。
しかし、これまでの得点を調べていくと、この「安全策」を覆す事実が判明した。

・マリニンの4Aの期待値:13.69点
・質の高い3Aの想定得点:10.00点
マリニンの4Aはもはや「博打」ではない。たとえ過去の失敗例(転倒や回転不足)を加味しても、1回あたりの平均獲得点は3Aを3.69点も上回る。
最新の競技会での安定したパフォーマンスを加えると、4Aは失敗のリスクを成功時のリターンが完全に相殺する、極めて効率的な得点源である、と考えられる。本人の意欲が高まっている背景には、こうした「技術への確信」が数字としても裏付けられている
数字と情熱が重なる、伝説の瞬間へ
各紙の報道によれば、マリニンはミラノ五輪に向けてコンディションを最高潮に高めており、4A投入の可能性は高そうだ。
一度しかない五輪のチャンスに期待値だけで語るのは酷かもしれないが、AIが算出した「3.69点のアドバンテージ」は、他の要素でミスが出た際の大きな保険にもなる。「4Aなしで安全に勝つ」のではなく、「4Aを成功させることで、圧倒的なマージンを持って勝つ」という選択肢。過去のデータからは、マリニンが「4Aに頼らずとも勝てる地力」と「4Aで突き放す爆発力」の両方を手にしているということが明らかになった。
4Aは依然としてリスクを伴う技であり、彼が「封印」を選んだとしても、それは他の選手たちの猛追を退けるための極めて賢明な勝利への執念と言える。一方で、彼がこの期待値の高い大技を組み込んでくるならば、それは我々がまだ見ぬ高い次元での得点争いが繰り広げられる合図となりそうだ。
数字による合理性と、勝負を左右する直感。そしてライバルとの駆け引き。ミラノの地で、どのような結末が待っているのか。その瞬間を楽しみに待ちたい。
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