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高橋大輔、スケート歴30年の現在地と新たな道、今なお高まる向上心と情熱

2024 3/7 05:30堺俊輔
高橋大輔Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

新機軸の「滑走屋」終え「本当に幸せなこと」

2月10日から3日間、9公演を完走した新機軸のアイスショー「滑走屋」。フィギュアスケート男子の2010年バンクーバー冬季五輪銅メダリスト、37歳の高橋大輔はプロデュースと演者を兼ねて出演し、大盛況のうちに福岡で幕を閉じたショーを終え、自身のSNSで心境をつづった。

「2024/2/14でスケート始めて30年。気づいたらもうそんなに経つのかと。30年経ってもこんなに新しい事に挑戦出来、色々な刺激の中で過ごせてるって本当に幸せな事だなと噛み締めて居ます」

7歳でスケートを始めた当時に思いをはせながら、プロスケーターとして再出発し、元世界選手権王者として総指揮した「氷上エンターテインメント」はまさに新たな挑戦だったということだろう。

思えばこの30年、数々の「日本男子初」の冠が付く成績を残し、新たな道を開拓してきた。

2002年3月、岡山・倉敷翠松高時代に15歳で出場した世界ジュニア選手権(ノルウェー・ハーマル)を日本男子として初制覇。

2010年2月に開かれたバンクーバー冬季五輪は情熱的で軽やかなステップで観客を魅了し、23歳で日本男子初の表彰台となる銅メダルに輝いた。直後の世界選手権(イタリア・トリノ)では日本男子初制覇を果たしている。

6月のアイスショー「氷艶」は宮本亜門とタッグ

そんなフィギュアスケート界の先駆者でもある高橋はプロスケーターとして、クラシック、ソウル、ヒップホップなどあらゆるジャンルの音楽と一体になって表現できる世界観が魅力でもある。

主演するアイスショー「氷艶 hyoen 2024 十字星のキセキ」は、6月8日から4日間、神奈川・横浜アリーナで開催される予定。ジャンルを越えて国内外で幅広い作品を手がける宮本亜門が演出を手掛け、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』をモチーフにしたストーリーが展開される。イベントの主題歌は、ゆずが書き下ろした。

『氷艶』は氷上での表現だけでなく、今までにないような日本文化を伝える艶やかな舞台を創っていくというコンセプトを掲げる。「氷艶」の「エン」という音の響きにはこの企画を通じてさまざまな「縁」が繋がっていく願いも込められている。

高橋は自身のインスタで「5年ぶり開催となり、僕自身とても嬉しく思います。この5年間の間に、アイスダンス競技への挑戦、コロナ禍の生活、そして競技生活からの引退、振り返ると様々な経験をさせていただきました。その一つ一つが現在の自分自身の糧となっており、また、本作への挑戦に繋がっております。5年間の時を経て、成長した姿をお見せできるよう、務めてまいります」と意気込みを語った。

「40年、50年後も同じ気持ちで」

3度の冬季五輪を経験した高橋は2014年に一度現役を退き、2018年に復帰。2020年にアイスダンスに転向し、全日本選手権優勝、世界選手権で日本勢最高位に並ぶ11位と結果を残した。最近は競技の普及や後進への道にも注力を注ぐ。

スケート歴30年に触れたインスタでは「これからどんな道に進んでいくのか全く分かりませんが、40年、50年と今と同じ気持ちで過ごせて居たらいいな。これからもスケートを軸にやりたい事をやっていこうと思います」と結んだ。

アイスショーで求められる表現力や踊るテクニックは、メダルを争う競技者と共通する部分も多いと受け止める。スケートへの向上心と情熱は、今なお高まるばかりだ。

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