単独公演「プロローグ」横浜、八戸で開催
フィギュアスケート男子で冬季五輪2連覇を達成し、2022年7月にプロへ転向した羽生結弦。自らが出演、プロデュースする単独アイスショーで独自の世界観を披露し、新たなステージでも新境地を切り開いている。
2022年11月に横浜市、12月に青森県八戸市でそれぞれ開催されたショーのタイトルは「プロローグ」(序章)。文字通り「これからいろいろな物語が紡がれていくといいな」(公式サイト)という本人の思いを込め、大きな一歩を踏み出した物語の始まりだ。公演のコンセプトやロゴのデザイン、ステージ構成も自ら考案して練り上げたこだわりの数々に、プロスケーターとしての矜持がにじんでいる。
公開された映像によると、横浜市のぴあアリーナMMで行われた初めての単独アイスショーでは約8000人の熱狂的なファンが羽生の新たな船出を見守る中、オープニングで2018年平昌冬季五輪のフリーに用いた伝説のプログラム「SEIMEI」を演じ、サルコーやトーループの4回転ジャンプを美しく着氷した。
五輪や世界選手権の競技会そのままに、場内の雰囲気は独特の緊張感に包まれ、約1時間半の「ワンマンショー」を熱演。演目の合間にトークを交えながらも演技の間隔は短く、異例といえるソロ出演で体力的な負担も大きかった。
氷上でマイクを持つと「僕にとっては、競技をやっていくのと何ら変わらない。ある意味では選手時代よりもかなり体力を付けてきたつもりですし、いろんな表現もできるようになったつもりです」と心技体の充実ぶりを強調した。
まさに「新しい羽生結弦の物語の始まり」を印象付けるショーでもあった。
東京ドーム公演「GIFT」は演出にMIKIKOさんも
「序章」の次はまた壮大な挑戦となる。スケーターとして史上初となる単独の東京ドーム公演「GIFT」が2023年2月26日に開催される。
ファンへの「感謝の贈り物」という思いを込めたタイトルや演技構成は製作総指揮の羽生自身が考え、演出はPerfumeなどテクノロジー系の音楽とダンスを融合させた振付家として知られるMIKIKOさんが担当。羽生結弦の半生と、これからを表現する物語になるという。
公式サイトの動画では「僕自身、初めて言葉を綴って物語を作りました。その物語の中にあるプログラムたちが、皆さまへのギフト・贈り物となって届きますよう、願いを込めて滑らせていただきます」と熱い思いを口にした。
開催当日の2月26日はライブ・ビューイング(生中継)が全国の映画館で行われるほか、翌日にディレイ・ビューイング(再上映)も開催されることが決定。香港、台湾、韓国の複数の映画館でもライブビューイングされ、ディズニー公式動画配信サービス「ディズニープラス」で独占配信されることも公表された。
地元宮城県では体操の内村航平と「共演」も
東日本大震災から12年となる2023年3月11日には出身地、宮城県のセキスイハイムスーパーアリーナ(利府町)でアイスショー(Huluストアで独占ライブ配信)を開催することも決まり、羽生と同様に五輪で2連覇した体操男子の内村航平さんがスペシャルゲストで参加する。競技の枠を超え、ともに「美しさ」を追求してきたアスリートによる夢の共演が実現する。
練習中に被災して避難所生活を経験した羽生にとっては、胸に刻まれた大切な日であり、特別な思いを込めた公演でもある。タイトルの「notte stellata」はイタリア語で「満天の星」を意味する。「あの日、被災地を照らした満天の星のように“希望”を発信し、人々が少しでも笑顔になれるきっかけになれば」と公式サイトのメッセージには、そんな思いを込めた。
美しく輝く満天の星に「希望の光」を感じたように、プロとして氷上で新たな挑戦を続けていく。
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