「BEYOND」全国ツアー、14都道府県
フィギュアスケート女子の2010年バンクーバー冬季五輪銀メダリストで31歳の浅田真央さんが、総合演出として座長を務めるアイスショー「BEYOND」の全国ツアーが9月10日、滋賀県立アイスアリーナで幕を開けた。
自ら共演者の選出から振付や演出までプロデュースし、公式サイトによると、今回のテーマは「覚悟と進化」―。過去を超えて進化するという思いを込めた再出発でもある。2023年3月まで14都道府県を回り、全国行脚する。
2017年4月に現役引退した浅田真央さんは2018年5月から約3年の長期間にわたり、アイスショー「浅田真央 サンクスツアー」で座長を務め、全国50会場、200公演以上のツアーを完走した。
あれから約1年5カ月。プロスケーターとして今なお氷上で輝き続け、今公演の「BEYOND」が「進化の物語」になるよう覚悟を持って滑る意気込みだ。
90分間ノンストップ、スロージャンプも挑戦
公式ユーチューブによると、新たなステージに挑む浅田真央さんは、新アイスショーに臨む心境を「わくわくドキドキ」と表現した。練習ではタブレット端末で共演者の仲間と踊りの動きを細部までチェックし、最後は円陣を組んで「BEYOND!」と気合を入れて締めくくる様子も充実した時を感じさせる。
フィギュアスケートの枠を超え、約90分間のノンストップショー。現役時代は代名詞のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を武器に、唯一無二のスケーターだった。ただそれ以上にファンの記憶に残る栄光の軌跡を振り返るまでもなく、スケートへの情熱と不屈の精神を持っていた。それが座長としてのスタンスにもつながっている。
演目ではオープニングでシルクハットを被った黄金の衣装を披露し、スイングジャズの名曲「シング・シング・シング」に合わせて華麗なステップやスピンを披露。現役時代にも使用した「白鳥の湖」や「シェヘラザード」で男性とのペアでリフトやスロージャンプにも挑戦した。
初日の公演終了後、自身のインスタでは「日々120%全力でBEYONDと言いながらハードな練習を乗り越え、笑ったり泣いたり共に戦ってきたメンバーのみんな、どんな事があっても諦めず信じて付いてきてきてくれて、本当にありがとう。みんなとBEYONDの舞台で滑る事ができて良かったです。みんなの笑顔が輝き過ぎていて素敵過ぎて、涙腺崩壊しました。みんな最高だったーーー」と感謝の思いをつづった。
荒川静香さんや羽生結弦さんもプロの世界
フィギュアスケートの世界は、プロが最高峰の野球やサッカーと異なり、競技会の第一線を退いた一部のスケーターがプロとしてアイスショーを中心に滑る。五輪や世界選手権の大会と違い、小道具の使用や複数のスケーターとの共演も見どころの一つだ。
2006年トリノ冬季五輪女王の荒川静香さんらもアイスショーの舞台で活躍しており、競技会から卒業した五輪2連覇の羽生結弦さんもプロ転向で新境地を期待されている。
浅田真央さんは今回の新アイスショーの開幕に合わせ、自身のインスタで「言葉では言い表せないほどの想いで胸がいっぱいです。明日から全力でBEYONDの世界を届けたいと思います!」とコメントしている。
「新たな旅」はまだ始まったばかり。その晴れやかで輝かしい笑顔が心身の充実ぶりを物語る。「過去の自分を超える」挑戦へ再出発した。
【関連記事】
・浅田真央が輝き続ける原動力、今なお抱くフィギュアスケートへの情熱と夢
・村元哉中&高橋大輔、再出発の結成3季目はラテンの世界観で新境地
・フィギュアスケート男子で羽生結弦のバトン受け継ぐ次世代は多士済々