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村元哉中&高橋大輔、再出発の結成3季目はラテンの世界観で新境地

2022 8/29 06:00田村崇仁
村元哉中と高橋大輔,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

アップテンポな曲調、振付師に6人の陣容

フィギュアスケートのアイスダンスで5月に現役続行を表明し、結成3シーズン目に挑む村元哉中、高橋大輔組(関大KFSC)の新たなリズムダンス(RD)は、情熱的な「ラテン」をテーマにした世界観で新境地を目指すことになった。

結成2年目の昨シーズンは、日本の伝統をユニークな音楽と振り付けでアレンジした「ソーラン節&琴」のRDでアイスダンサーとしての「超進化」を遂げ、海外からも「革新的なダンス」などと称賛された「かなだい」ペア。拠点とする米国で始動して再出発と位置付ける今季はRDを「Conga and Rhythm is Gonna Get You」「Ahora」「Move」の3曲編成とし、振付師にはズエワ・コーチを中心として昨季も参画した矢内康洋氏やラテンダンスの元世界チャンピオンなど6人の専門家が名を連ねる分厚い陣容だ。

目標にしてきた2022年北京冬季五輪出場は逃したものの、人気や注目度の高さは変わらない。36歳の高橋大輔は公式サイトで「アップテンポでとてもハードなプログラムになりますが、これを完璧に仕上げたい気持ちでモチベーションも高いです。やっていて僕達も楽しく、皆さんも盛り上がれるプログラムになっていると思います」とコメント。選曲は29歳の村元哉中が担当したという。

公開された動画でも、ユニークなソーラン節のダンスとはまたひと味違ったラテン系のリズムを2人が切れ味鋭く演じ、笑顔で心底楽しんでいる様子がうかがえた。

GPシリーズは米国大会とNHK杯エントリー

「かなだい」ペアは8月26日から横浜市のコーセー新横浜スケートセンターでアイスショー「フレンズ・オン・アイス」に出演し、3日間のアイスショーで新RDを初披露。アイスダンスに転向する前のシングル時代もラテン系の曲で数々の実績を残してきた高橋大輔と、情熱的な表現力も兼ね備える村元哉中が氷上でどんな化学反応を見せるのか興味は尽きない。

今季はグランプリ(GP)シリーズ第1戦のスケートアメリカ(10月21~23日・ノーウッド)が初戦。第5戦のNHK杯(11月18~20日・札幌)にもエントリーしている。

そして今季最大の舞台は2023年3月、さいたまスーパーアリーナで行われる世界選手権だろう。昨季の世界選手権後、高橋は「アイスダンサーになれたのかなと少しずつ思えるようになった。ポテンシャルとしてはまだまだ」とのコメントを残している。2人の世界観が実戦を重ね、未知の領域に踏み込んでいけるのかさらなる成長ぶりが楽しみなところだ。

北京五輪落選から未知への挑戦

「かなだい」ペアは昨季のフリーでクラシックバレエの名曲「ラ・バヤデール」を独自の世界観で演じ、アイスダンサーとしての大きな一歩を踏み出した。未完成ながら今季の新RDを一部見ると、村元哉中の腕に高橋大輔が指を這わせる場面など、お互いの自然な距離感に成長の跡を感じさせる。

2021年12月の全日本選手権では2位となり、1枠の狭き門だった2022年2月の北京冬季五輪は惜しくも出場の夢が叶わなかった。しかし、2022年1月の四大陸選手権(エストニア・タリン)では日本勢で過去最高位の銀メダルを獲得して成長ぶりを証明した。

2022年3月の世界選手権では合計164.25点で16位にとどまったが、2人が紡ぎ出す世界観はアイスダンスの新たな価値を世界にアピールしたといえる。

今季の新RDは曲調もめまぐるしく変わり、うまくはまれば、さらなる大きなインパクトを残すことは間違いない。「この2年間、突っ走ってきたので気持ちにバケーションをあげてしっかり考えたい」と話していた高橋大輔の再出発となる新シーズン。未知への挑戦が再び始まった。

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