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宇野昌磨、心機一転で挑む北京五輪シーズン「昨日の自分に負けない」

2021 7/9 06:00田村崇仁
宇野昌磨Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

GPシリーズはスケートアメリカとNHK杯

フィギュアスケートの2018年平昌冬季五輪男子銀メダリストで23歳の宇野昌磨(トヨタ自動車)が、勝負の北京冬季五輪シーズンに挑む。

平昌五輪後は「何かが足りない」と自らの殻を破るべく、5歳から師事した山田満知子、樋口美穂子両コーチの下を離れ、コーチ不在で低迷する試練も経験したが、救世主となった2006年トリノ冬季五輪銀メダリストで元世界選手権王者のステファン・ランビエル氏の指導でスイスに拠点を移して復調。日本スケート連盟の公式サイトによると「昨日の自分に負けない様に前を向いて頑張っていきます」と心機一転のシーズンに懸ける思いを込めた。

国際スケート連盟(ISU)は6月29日、グランプリ(GP)シリーズ6戦の出場選手を発表し、宇野は第1戦のスケートアメリカ(10月22~24日・ラスベガス)と第4戦のNHK杯(11月12~14日・東京・国立代々木競技場)にエントリー。NHK杯は五輪3連覇が懸かる羽生結弦(ANA)も参戦することになっている。

シリーズ上位6人が昨季は新型コロナウイルス禍で中止となったGPファイナル(12月9~12日・大阪)に進出する。

フリーの新曲ボレロは「自分の代名詞」に

日本スケート連盟のフィギュア特別強化選手に選ばれた宇野は「今もなお世の中では様々な困難を強いられておりますが、『今』できること、『今日』できることに一生懸命になれば必ず明日に繋がっていくと思っています」と新たな決意を表明した。

フリーの新曲「ボレロ」には特別な思いがあるようで「自分の代名詞にしたい」とも意気込む。極めて難度の高い演技構成になりそうだが、宇野の滑らかなスケーティング技術によく合っているとの見方も専門家にあり、今後のシーズンを通じて、どこまで完成度を高められるかが注目のポイントだろう。

ユーチューブでアイスショーの舞台裏、後輩の鍵山に刺激も

「自分も楽しみつつ、少しでもフィギュアスケートの普及に貢献できれば」と始めた自身のユーチューブ公式チャンネルでは、5月上旬に横浜市のコーセー新横浜スケートセンターで行われたアイスショー「プリンスアイスワールド」の舞台裏を見せる場面も。息を切らせながら、アイスショーの演技間で「早着替え」する様子もアップした。

その中で「アイスショーは忙しいけど楽しい。これからもずっとあってほしい」とスケート愛を語る一方で「明日の朝、トーループの研究重ねる。シーズン中よりトーループの練習している」とアスリートとしての情熱と素顔ものぞかせる様子が印象的だった。

最近は3月の世界選手権に初出場して2位に入った鍵山優真(神奈川・星槎国際高横浜)から刺激を受け、さらなる向上心に火が付いたとも心境を明かしている。

名古屋スポーツセンターでスケート教室に参加した際、偶然居合わせた浅田真央に声を掛けられて5歳でスケートを始め、平昌五輪は憧れの羽生に敗れて2位。自身の殻を破るため「コーチ卒業」の決断から、のどかな街並みのスイスに拠点を移し、人格者のランビエル・コーチとは良好な信頼関係を築いている。

試練の時を経て、尊敬する羽生の背中を追う宇野の一回りした成長した人間性が今季はさらに氷上の演技でも彩りを添えるだろう。

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