パラリンピックのはじまりとは
まずはパラリンピックの成り立ちを紹介していく。障がいがある人も20世紀のはじめ頃からスポーツに参加する機会が増えたが、本格的にルールが制定された“パラリンピック”の起源となったのが、1948年に開催されたロンドンオリンピックでのこと。
同日にイギリスのストーク・マンデビル病院で開催された大会がはじまりとされている。時代背景は折しも戦争中で、負傷した兵士のリハビリテーションが目的でスタートした。
その後の1960年にローマで開催されたオリンピックが、第一回パラリンピックと呼ばれている。パラリンピックが正式名称として採用されたのは、1988年のソウル大会からとなっている。
パラリンピックに採用された自転車競技の歴史とは
自転車競技がパラリンピックに正式種目として採用されたのは、1984年のニューヨーク・アイレスベリーパラリンピックからのこと。
ロサンゼルスオリンピックと同時期に開催された大会で、当初はニューヨーク州とイリノイ州で開催される予定だったが、イリノイ州が財政難のため、アイレスベリーにあったストークマンデビル病院でも開催されることになった。
このときはまだ屋外を走る「ロードレース」だけだったが、1996年に開催されたアトランタパラリンピック大会では、屋内で走る「トラック」という種目が新しく追加された。
パラリンピックの自転車競技の概要とは
パラリンピックの自転車競技は大きく2種類の種目にわかれている。まずは屋内型の競技場でレースをおこなう“トラックレース”。そして一般道などを使用する屋外型の“ロードレース”。トラックレースは傾斜のついた“バンク”と呼ばれるコースを走る。
種目はパシュート・タイムトライアル・スプリントの3つ。障がいがあってもコースを駆け抜けるスピードは時速60kmにも及ぶ。
そしてもうひとつのロードレースは屋外を走るため、道路の状況や天候が変化するのが醍醐味である。平坦なコースだけでなく登り坂や下り坂など、さまざまなドラマが生まれるコースが魅力だ。
パラリンピックの部門と自転車の種類とは
パラリンピックの自転車競技に出場するのは、上下肢切断や欠損などの肢体不自由、そして視覚障がいや脳性麻痺のある選手たちだ。
障がいの程度や種類などによって、部門と使用する自転車の種類が決まる。自転車の種類はC部門の二輪自転車とT部門の三輪自転車、H部門のハンドバイクとB部門のタンデム自転車の4つだ。
障がいの程度によって二輪自転車に乗れる場合は、義足とペダルが固定できるように改造が認められている。より障がいのある選手は、バランスのとりやすい三輪自転車で出場。下肢に障がいがある選手は、腕や手でペダルを回すハンドサイクルを使用する。
パラリンピック自転車競技の日本人選手の活躍とは
パラリンピック自転車競技。日本人選手の活躍で記憶にあたらしいのは、2016年にブラジルで開催されたリオ・パラリンピックでのこと。
視覚障がいのある選手が戦う自転車女子タンデムのレースで、鹿沼由理恵選手と田中まい選手が、女子のパラリンピック自転車競技で初となる銀メダルを獲得。
他にも同大会で男子ロードタイムトライアルの藤田征樹選手と、女子ロードタイムトライアルの鹿沼由理恵選手がともに銀メダルを獲得するなど活躍した。
まとめ
オリンピックと変わらない迫力がある、パラリンピックの自転車競技を紹介した。東京で開催されるパラリンピックにも、日本人選手の活躍に期待が集まる。スピード感にあふれたレースを見れば、誰もがその迫力に感動するだろう。観戦すべき種目の1つである。