パンコンチネンタル決勝で韓国に敗れ連覇逃す
勝負の世界は敗北から学ぶこともある。11月4日までカナダのケロウナでアジア、オセアニア、米大陸から8カ国・地域が参加して行われたカーリングのパンコンチネンタル選手権。決勝で女子日本代表「ロコ・ソラーレ」は韓国に6―11で敗れ、2連覇にあと一歩届かなかったが、今季の目標である「世界一」へ多くの教訓も得たようだ。
決勝ではチームのショット成功率が韓国の83%に対し、2022年北京冬季五輪銀メダルのロコ・ソラーレは74%。6―6で迎えた第7エンドに大量3失点し、第8、9エンドと連続でスチールを許す苦しい展開で、わずかな精度の差が勝敗の分岐点となった。
スキップ藤澤五月は大会の公式サイトで「いいチャンスもあったが、今週は彼女たちが本当に良いチームだった。今シーズンはここまであまり出来が良くなかったけれど、決勝まで来られて本当にうれしい。でもやっぱり勝ちたかった」とコメント。
連覇こそ逃したが、日本と韓国のほか、3位の米国、4位のカナダと強豪国が激突した国際大会でチーム全体の経験を重ねられたのは大きかった。
強さ支える4人の総合力、大会通してショット成功率80%
今季のロコ・ソラーレは目標を2024年3月の世界選手権での「世界一」に置く。「氷上のチェス」と呼ばれる頭脳スポーツにはアイスの状況やストーンのチェック、戦術といった勝負を分けるさまざまな要素があるものの、ロコ・ソラーレの強さは総合力で世界各国をしのぐ4人のショット成功率の高さにある。
今大会を通し、スキップ藤澤、サード吉田知那美、セカンド鈴木夕湖、リードの吉田夕梨花によるチームのショット成功率は80%。1次リーグでは韓国に初黒星を喫したが、カナダを10―7で下すなど6勝1敗の2位で通過した。
米国との準決勝では6―8で迎えた第10エンドに2点を挙げて追い付き、延長の第11エンドに2点をスチールして10―8で競り勝った。今大会は世界選手権の予選も兼ねており、日本は出場枠を確保した。
世界ランキング4位、藤澤五月「世界のトップになれる」
2023年3月の前回世界選手権は決勝でスイスがノルウェーを退けて4連覇を達成した。ロコ・ソラーレはプレーオフで3位通過のカナダに4―6で競り負け、準決勝進出を逃している。
それでもスキップ藤澤は今大会前の中継局インタビューで「世界のトップになれるチャンスが高まってきている」と手応えを口にした。
最新の世界ランキングは1位スイス、2位スウェーデン、3位カナダに次いで日本は4位。「自分たち自身の自信もついてきた。結果を求めていいレベルに達している。まだまだ自分たちの伸びしろを信じているからこそ、まだまだ強くなれる。それがモチベーション」と頼もしい。
サード吉田知那美も中継局のインタビューで「シンプルにカーリングという競技自体が楽しい。この世界でなるべく長く続けたい。自分の変化と向き合っていくのがモチベーション」と語った。
2023年1月にはカナダのカムローズで行われたワールドツアー最高峰のグランドスラム大会、カナディアン・オープンで優勝したロコ・ソラーレ。世界ランク上位のチームが出場するグランドスラムを日本勢が制したのは初めてだった。
藤澤は「勝ちたい大会で結果を出せるように」と視線を前に向ける。2026年ミラノ・コルティナダンペッツォ冬季五輪出場に向けたポイント争いも始まった今シーズン。世界選手権へピークを合わせていく構えだ。
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