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比嘉大吾「3度目の正直」の可能性、最長ブランク7年3カ月ぶりの王座返り咲きなるか

2025 7/2 07:00SPAIA編集部
比嘉大吾,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

7月30日、バルガスに3戦連続の世界挑戦

プロボクシングのWBAバンタム級2位・比嘉大吾(29=志成)が7月30日、横浜BUNTAIでWBAバンタム級王者アントニオ・バルガス(28=アメリカ)に挑戦する。

比嘉は2024年9月にWBOバンタム級王者・武居由樹(大橋)に12回判定負け、今年2月にWBA同級王者・堤聖也(角海老宝石)と12回引き分けと2戦連続で王座獲得に失敗したが、異例の3戦連続世界挑戦。勝てば2018年4月にWBCフライ級王座を失って以来、国内最長ブランクの7年3カ月ぶりの王座返り咲きとなる。

勝てなかったにもかかわらず、3戦連続で世界戦のリングに立てるのは過去2戦の内容が良かったからだ。武居戦は11回に比嘉がダウンを奪ったものの、最終回にガス欠となって猛反撃に遭い、115-112が1人と114-113が2人の僅差の判定負けだった。

堤戦はさらに壮絶な打撃戦。9回、まず比嘉が左フックでダウンを奪うと、今度は立ち上がった堤が右のショートカウンターをクリーンヒット。比嘉は前のめりにダウンした。

2025年のベストラウンドに挙げてもいいダウン応酬の9回を経て、結果はジャッジ三者ともに114-114のドロー。高校時代からのライバル同士の一戦は、勝てなかったものの比嘉の“賞品価値”を上げる一戦となった。

その後、堤が左目のケガで試合をできないため「休養王者」となり、暫定王者だったバルガスが正規王者に昇格。ランキング上位にいた比嘉に3戦連続のチャンスが巡ってきた。この試合の勝者は堤と王座統一戦を行う方向だ。

15連続KOの日本タイ記録持つ元世界フライ級王者

比嘉は沖縄・宮古工業高でアマチュアボクシングを始め、卒業後に同じ沖縄出身の具志堅用高会長から誘われて白井・具志堅スポーツジムに入門。2014年6月に1回KO勝ちでデビューすると、オールKO勝ちのまま13戦目にWBCフライ級王座を獲得した。

日本タイ記録の15連続KO勝ちをマークして迎えた2018年4月の3度目の防衛戦。比嘉は前日計量をクリアできず体重オーバーのため王座を剥奪され、試合もクリストファー・ロサレス(ニカラグア)に9回TKO負けでプロ初黒星を喫した。

ボクサーライセンス無期停止処分を受けた比嘉は、処分解除を受けて2020年2月に復帰戦を飾ったが、モチベーションの低下を理由に白井・具志堅スポーツジムを離脱。その後はジムを移籍し、2020年10月には世界王者になる前の堤聖也と引き分け、2021年4月に西田凌佑(六島)に判定負けするなど、勝ったり負けたりの時期が続いた。

しかし、1年3カ月ぶりのリングとなった2022年7月から4連勝して復活ののろしを上げ、武居、堤と紙一重の勝負を繰り広げるまでになった。

元々は軽量級離れした破格のパンチ力で、陽気なキャラクターも手伝って人気の高かった選手。バンタム級でも十分に戦えるメドが立ち、バルガス戦は千載一遇のチャンスと言える。

バルガスは顎がもろい?

バルガスは2016年リオデジャネイロオリンピックにアメリカ代表として出場したが、プロでは試されていない部分も多い。正統派のボクサーファイターで身長、リーチとも比嘉より一回り大きいものの、やりにくいタイプではない。

戦績は19勝(11KO)1敗1無効試合。最近の試合ではダウンも喫するなど打たれ強くはなさそうだ。21勝(19KO)3敗2分けの比嘉の強打が当たればチャンスは十分にあるだろう。

比嘉があと一歩まで王座に迫りながら届かなかったのは、武居や堤に比べてベルトへの執念が足りなかったからではないだろうか。最後まで諦めず、油断せずに戦えば「3度目の正直」の可能性は決して低くない。

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