WBAバンタム級1位は石田匠
ボクシングのバンタム級は日本のファンに最も馴染み深い階級のひとつだろう。ファイティング原田、辰吉丈一郎、長谷川穂積、山中慎介、井上尚弥ら名王者が多く、漫画「あしたのジョー」の主人公・矢吹丈もバンタム級だった。そんなリミット118ポンド(53.52キロ)の階級がいつになく活況を呈している。
2月24日に両国国技館で王者・井上拓真(28=大橋)と同級9位ジェルウィン・アンカハス(32=フィリピン)が戦うWBAバンタム級タイトルマッチと、3階級制覇を狙う中谷潤人(26=M.T)がアレハンドロ・サンティアゴ(28=メキシコ)に挑むWBCバンタム級タイトルマッチが行われるが、他にもチャンスを待つ日本人のバンタム級世界ランカーは数多い。
主要4団体の世界ランキングを順に見ていこう。WBA(世界ボクシング協会)は以下の通りとなっている。
王者・井上拓真(28=大橋)のすぐ下にいるのが1位・石田匠(32=井岡)。2017年10月にカリッド・ヤファイ(イギリス)の持つWBAスーパーフライ級王座に挑んで12回判定負けしたが、その後バンタム級に上げ、2023年6月にビクトル・サンティリャン(ドミニカ)とのWBAバンタム級挑戦者決定戦に判定勝ちした。
37戦のキャリアを誇るベテランはWBCでも10位、IBFとWBOでは3位にランクされている。32歳の年齢を考えても、次に来るチャンスは絶対にものにしたいだろう。
WBA4位の堤聖也(28=角海老宝石)は前日本バンタム級王者。2023年12月に10回判定勝ちした穴口一輝が試合後に死亡するというショッキングな出来事があったが、WBC11位、IBF4位、WBO12位にランクされており、世界を期待されている。
キックボクシングから転向した那須川天心(25=帝拳)もWBA7位にランクされている。3戦目で世界ランカーのルイス・ロブレス(メキシコ)に3回終了TKO勝ちしてランク入りしたが、世界挑戦はもう少し先だろう。
WBC6位は15連続KOの比嘉大吾
続いてWBC(世界ボクシング評議会)のバンタム級ランキングも見てみよう。
1位・中谷潤人に次ぐ6位にランクされるのが比嘉大吾(28=志成)。元WBCフライ級王者で、15連続KO勝利の日本タイ記録保持者でもある。ジムを移籍して階級も上げ、再び世界を狙うハードパンチャーはWBA5位、IBF10位、WBO4位にランクされている。
栗原慶太(31=一力)はWBC13位。東洋太平洋バンタム級王座に3度の返り咲きを果たしている強打者だ。
IBF1位・西田凌佑は世界挑戦目前?
IBF(国際ボクシング連盟)のバンタム級ランキングは以下の通りとなっている。
王者はかつて井上尚弥に2回TKO負けしたエマヌエル・ロドリゲス(31=プエルトリコ)。その下、1位にランクされているのが西田凌佑(27=六島)だ。
奈良・王寺工業高、近畿大学でアマチュアボクサーとして活躍し、2019年にプロデビュー。3戦目で 大森将平(31=ウォズ)、4戦目で比嘉大吾を破ってWBOアジアパシフィックバンタム級王座を獲得するなど、無傷の8連勝(1KO)と全勝街道を突っ走る。WBCでも7位、WBOでは2位にランクされるが、IBF王座への挑戦が近そうだ。
WBO10位はK-1から転向した武居由樹
最後にWBO(世界ボクシング機構)のバンタム級ランキングも見てみよう。
王者ジェイソン・モロニー(33=オーストラリア)は井上尚弥に7回KO負けした後、再起してベルトを巻いている。
WBO10位にランクされるのが武居由樹(27=大橋)。K-1からボクシングに転向後8連続KO勝利を継続中だ。東洋太平洋スーパーバンタム級王座を獲得したが、井上尚弥と入れ替わるようにバンタム級に下げ、世界を狙っている。
井上拓真と中谷潤人の試合も楽しみだが、その先にはまだまだ牙を研ぐ日本人ボクサーが控えている。当面はバンタム級戦線から目が離せない。
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