世界で5人目の無敗で4階級制覇
プロボクシングのWBC・WBOスーパーバンタム級タイトルマッチが25日に東京・有明アリーナで行われ、同級1位・井上尚弥(30=大橋)が王者スティーブン・フルトン(29=アメリカ)に8回1分14秒TKO勝ちし、日本選手では井岡一翔(34=志成)に続いて2人目の4階級制覇を果たした。
試合は立ち上がりから井上がプレッシャーをかける展開。ジャッジ3人とも4ラウンドまでは全て井上にポイントをつけていた。しかし、中盤あたりからフルトンも盛り返し、7ラウンドは3人ともフルトンの10-9。お互いにクリーンヒットが少なく、井上が攻めあぐねる場面もあり判定決着までもつれ込むかと思われたが、フィニッシュシーンは唐突に訪れた。
8ラウンド、井上が左ボディストレートから顔面に右ストレートを打ち込むと、よろめいたフルトンが一瞬マットに手をついた瞬間を見逃さず、井上は左フックを追撃してダウンを奪った。辛くも立ち上がった王者をコーナーに追い詰めたモンスターは怒涛のラッシュ。レフェリーが試合を止めると同時にフルトンも崩れ落ちた。
これで世界戦20連勝。スーパーバンタム級転向初戦での不安を自らの拳で払拭した。4階級制覇は世界で23人目だが、無敗で達成となるとフロイド・メイウェザー(アメリカ)、オスカー・デラホーヤ(アメリカ)、ローマン・ゴンザレス(ニカラグア)、ミゲル・アンヘル・ガルシア(アメリカ)に次いで5人目の偉業だ。
WBA・IBF王者タパレスと年内に4団体統一戦?
試合後のインタビュー中には残りの2団体、WBAとIBFのベルトを持つマーロン・タパレス(31=フィリピン)がリングに上がり、井上が年内の対戦を呼び掛けた。実現すれば、スーパーバンタム級に転向してたった2試合で4団体統一の可能性が出てくる。
井上が契約するトップランク社の世界的プロモーター、ボブ・アラム氏も来日しており、試合後のリングで2人とともに記念撮影に収まっている。WBAはすでにタパレスが次戦で井上と対戦することを承認しており、一気に統一戦の実現へ進みそうだ。
そして実現すれば、井上は問題なく勝つだろう。タパレスはWBOバンタム級王座に続いて2階級制覇した実績を持つが、デビューは井上と同じライトフライ級で、身長163センチと井上より2センチ低い。スーパーバンタム級がナチュラルウエイトのフルトンを倒した井上にとって、タパレスは難しい相手ではない。
バンタム級に続く2階級での4団体統一も見えてきた。フェザー級に上げて5階級制覇を期待する声も高まるが、できればスーパーバンタム級であと数試合こなしながら筋肉をつけ、しっかりと体を作ってからでも遅くない。
スーパーバンタム級では「悪童」ルイス・ネリ(28=メキシコ)や井上を盛んに挑発してきたジョンリエル・カシメロ(34=フィリピン)、WBA1位の亀田和毅(32=TMK)ら日本でも名の通った世界ランカーが挑戦の時を待っている。因縁の相手を全て片付け、満を持してフェザー級で戦う井上尚弥を見てみたい。
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