アメリカでペイパービュー「本人に話した」
プロボクシングのWBC・WBOスーパーバンタム級1位・井上尚弥(30)が所属する大橋ジムの大橋秀行会長が、YouTubeチャンネル「渡嘉敷勝男&竹原慎二&畑山隆則ぶっちゃけチャンネル」に出演し、将来的にWBAライト級王者ガーボンタ・デービス(28=アメリカ)との対戦を井上に進言したことを明かして話題を呼んでいる。
井上は4団体統一したバンタム級王座を返上し、7月25日に東京・有明アリーナでWBC・WBOスーパーバンタム級王者スティーブン・フルトン(28=アメリカ)に挑戦予定。ライト級はスーパーバンタム級より3階級上で、上限体重は6キロ近い差がある。
にわかには信じがたい構想だが、大橋会長は同チャンネルでこう力説している。
「フェザー級終わって、ライト級にデービスっているでしょ。背が同じくらいだから。最後はアメリカでペイパービュー(PPV)でやったらどうかって話」
進行役の畑山隆則氏が「会長の希望としてはね?」と問いただすと、「違う違う、本人に話した」と明かした。井上の反応については語っていないが、「面白いんじゃないかなぁ」と話す表情は真剣そのものだ。
パッキャオ対デラホーヤはPPV125万件
仮にフルトンに勝てば日本選手2人目の4階級制覇となる井上だが、ライト級挑戦となると「何階級になるの?6階級?7階級?」と渡嘉敷勝男氏が質問。史上最多のオスカー・デラホーヤ(米国)とマニー・パッキャオ(フィリピン)でさえ6階級制覇だから荒唐無稽な構想にも思えるが、大橋会長は表情を変えずにこう答えた。
「契約ウェイトみたいな感じで、タイトルマッチじゃなくても」
現在の日本では世界王者がノンタイトル戦のリングに上がることはほとんどないが、ボクシングの本場アメリカ・ラスベガスでは世界王者がノンタイトル戦で戦うことも珍しくない。王座統一戦やビッグネーム同士になると、各団体の微妙なルールの違い、双方の思惑などが一致せず実現が難しい場合もあるが、ノンタイトル戦なら比較的ハードルは低い。
実際、パッキャオがデラホーヤと戦った試合はノンタイトル戦で行われ、PPVは125万件を売り上げたとされている。タイトルがかかっていなくても強い者同士の試合を観たいというファンの需要があり、両者はまさしく桁違いのファイトマネーを手にしたわけだ。
すぐには実現できないとしても、もし井上とデービスが今後数年間、無敗を守り続けて対戦が実現すれば、とんでもないスーパーファイトになることは間違いない。
史上3人目の3階級同時世界王者となったデービス
では、デービスは一体どれほど強いのだろうか。アマチュア時代に206勝15敗の戦績を残してプロ転向し、2017年1月にIBFスーパーフェザー級王座を獲得。2019年12月にWBAライト級王座も奪って2階級制覇すると、2021年6月にはWBAスーパーライト級のベルトも獲って史上3人目の3階級同時王者となった。
その後、スーパーフェザー級とスーパーライト級は返上してライト級を主戦場にしている。ここまで29戦全勝(27KO)。左右どちらのパンチでも倒せるサウスポーの強打者だ。
過去に暴行事件などを起こして逮捕歴があり、大橋会長によると、井上対フルトン戦も東京まで観戦に来る予定だったが、事件の影響でキャンセルになったという。
世界で最も権威があるとされるアメリカのボクシング誌「ザ・リング」が選定するパウンド・フォー・パウンド(全階級を通じて最強を決めるランキング)では、井上が2位、デービスが8位にランクされている。身長165センチの井上に対し、デービスも166センチとほとんど変わらないが、パワーではさすがの井上もデービスにはかなわないだろう。
とはいえ、ライトフライ級から着実にパワーとスキルをアップしてきた井上なら、もしかして…という期待を抱かせる。何はともあれ、フルトンに勝つことが大前提。まずは「Lemino」(https://lemino.docomo.ne.jp/ft/0000014/?clickref=1011lwWZrRUv)で独占無料配信される7月25日の有明アリーナに注目だ。
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