井岡一翔はフランコに、井上尚弥はフルトンに挑戦
ボクシングは階級別のスポーツのため、体格差のある日本人とアメリカ人が戦うことはそれほど多くない。日本選手の層の厚い軽量級はアジアや中南米の選手が大きなウェイトを占めている。
そんな中、日本ボクシング界の誇る2人が相次いでアメリカ人王者に挑戦する。WBAスーパーフライ級6位・井岡一翔(34=志成)は6月24日に東京・大田区総合体育館で同級王者ジョシュア・フランコ(27=アメリカ)と再戦。WBC・WBOスーパーバンタム級1位・井上尚弥(30=大橋)は7月25日に東京・有明アリーナで同級王者スティーブン・フルトン(28=アメリカ)に挑む。
日本初の4階級制覇を果たした井岡は、昨年大晦日にWBO王者として統一戦に臨んだが、フランコと引き分け。WBO王座を返上して、今回は挑戦者としてダイレクトリマッチに臨む。
日本選手2人目の4階級制覇を狙う井上は、昨年12月に4団体統一したバンタム級のベルトを返上。1階級上げて無敗のテクニシャン・フルトンに挑む。これまでアメリカ人に勝って世界王座を獲った日本選手は下記の通り(防衛戦は含まない)。
白井義男はダド・マリノを、西城正三はロハスを破る
日本人として初めて世界王者になった白井義男はダド・マリノと4度戦っている。1951年5月にノンタイトル戦で当時世界フライ級王者だったダド・マリノに判定負けし、同年12月にはノンタイトル戦で7回TKO勝ちして雪辱。翌1952年5月に今度はタイトルをかけて3度目の対戦に臨み、白井が15回判定勝ちで王座を獲得した。白井がベルトを巻いた5月19日は「ボクシングの日」に制定されている。
白井は同年11月にも初防衛戦でマリノと4度目の対戦に臨み、15回判定勝ちで防衛に成功。同王座は1954年11月にパスカル・ペレス(アルゼンチン)に敗れるまで4度防衛した。
2人目は西城正三だ。武者修行のため渡米した1968年6月、WBAフェザー級王者ラウル・ロハスとのノンタイトル戦に判定勝ち。3カ月後にタイトルをかけて再戦し、再び15回判定勝ちして王座を奪った。
日本選手が海外で世界王座を奪うのは初めてで、西城は「シンデレラ・ボーイ」と呼ばれる人気王者となった。同王座は5度防衛している。
輪島功一、三原正の重量級2人も
輪島功一はカルメロ・ボッシ(イタリア)から奪った世界スーパーウェルター級王座を6度防衛。7度目の防衛戦でオスカー・アルバラードに15回KO負けで王座を明け渡したが、7カ月後の1975年1月に挑戦者として再戦し、15回判定勝ちで王座奪回に成功した。
輪島は次戦で敗れた柳済斗(韓国)にも再戦で雪辱。2度の王座返り咲きを果たし、「炎の男」と呼ばれた。
三原正はプロ5戦目で東洋太平洋スーパーウェルター級王者となり、1981年11月に敵地アメリカで行われたWBAスーパーウェルター級王座決定戦でロッキー・フラットに判定勝ち。無敗のまま、日本選手5人目の海外世界王座奪取を果たした。同王座は初防衛戦で同じくアメリカのデビー・ムーアに6回KO負けで陥落している。
辰吉丈一郎、村田諒太はKO奪取
カリスマ的人気を誇った辰吉丈一郎も最初の王座奪取はアメリカ人王者だった。1991年9月、プロ8戦目でWBCバンタム級王者グレグ・リチャードソンに挑み、プロアマ通じて300戦以上のベテラン王者を圧倒。10回終了TKO勝ちで初のベルトを奪った。
辰吉はその後、ビクトル・ラバナレス(メキシコ)、シリモンコン・ナコントンパークビュー(タイ)にも勝ってWBCバンタム級王座に2度返り咲いている。
2012年ロンドン五輪金メダリストからプロ転向した村田諒太は、2017年10月にアッサン・エンダム(フランス)からWBAミドル級王座を奪ったが、2018年10月にアメリカ・ラスベガスで行われた2度目の防衛戦でロブ・ブラントに判定負け。2019年7月、大阪でダイレクトリマッチに臨み、2回TKO勝ちでリベンジに成功した。
その後、2022年4月にゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)との統一戦に挑み、9回TKO負けで引退した。
わずか6例しかない中でも輪島、三原、村田の3人はスーパーウェルター級以上の重いクラス。アメリカ人の少ない軽量級では日米対決自体が珍しい。井岡と井上はアメリカ人王者を倒すことができるか。
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