堤駿斗が3戦目で東洋太平洋王座挑戦
プロボクシングの日本フェザー級3位・堤駿斗（23＝志成）が動画配信サービス「ABEMA」とスポンサー契約を結んだ。
ABEMAは「格闘チャンネル」を配信するなど格闘技に力を入れており、わずかプロ2戦のホープと契約。5月31日に堤がジョー・サンティシマ（フィリピン）と戦う東洋太平洋フェザー級王座決定戦も独占配信するという。
堤は那須川天心と幼なじみで中学まで空手やキックボクシングをともに学び、習志野高時代はボクシングで高校6冠を達成。東洋大時代は東京五輪出場こそ逃したものの数々のタイトルを獲得し、アマチュアで13冠に輝いた。88勝（26KO・RSC）6敗の戦績を残して志成ジムからプロ転向した。
2022年7月に史上10人目のA級デビューとなる8回戦で東洋太平洋フェザー級5位ジョン・ジェミノ（フィリピン）に判定勝ち。同年大晦日には前東洋太平洋スーパーバンタム級王者ペテ・アポリナル（フィリピン）に判定勝ちして2連勝を飾った。
5月31日に東洋太平洋フェザー級王座決定戦でジョー・サンティシマと対戦し、勝てば田中恒成、清水聡の4戦を上回る日本最速の3戦目で東洋太平洋王座獲得となる。自身のSNSでは「ここでしっかり獲って次のステージに進みます。皆さん会場での応援宜しくお願い致します」と意気込みを表明している。
清水聡が世界挑戦、阿部麗也、松本圭佑も世界狙う
フェザー級は126ポンド（57.15キロ）がリミット。世界的に見れば軽量級だが中南米選手の層が厚く、世界王座を獲得した日本人ボクサーは5人しかいない。
「シンデレラボーイ」西城正三、ハードパンチで2階級制覇した柴田国明、バンタム級から3階級制覇の長谷川穂積、35歳でベルトを巻いた越本隆志、スーパーフェザー級と2階級制覇した粟生隆寛と、いずれも歴史に残る名ボクサーだ。長谷川がWBCフェザー級王座から陥落したのが2011年4月だから、もう12年も日本から世界フェザー級王者は誕生していない。
しかし、近年はいつになくフェザー級が活況だ。2012年ロンドン五輪男子バンタム級銅メダリストで、前東洋太平洋フェザー級王者の清水聡（37＝大橋）は7月25日に東京・有明アリーナでWBOフェザー級王者ロベイシ・ラミレス（29＝キューバ）に挑戦。同五輪ミドル級で金メダルに輝き、プロでも世界王者になった村田諒太が引退した今、ようやく世界挑戦のチャンスをつかんだ。
また、阿部麗也（30＝KG大和）はIBFフェザー級挑戦者決定戦でキコ・マルチネスに12回判定勝ち。現在IBF1位にランクされており、世界初挑戦も近い。
さらに日本フェザー級王者・松本圭佑（23＝大橋）も8戦8勝（7KO）のホープ。元日本、東洋太平洋フェザー級王者・松本好二現トレーナーを父に持ち、親子二代で日本タイトルを獲得して話題になった。
アマチュアで80勝（30KO・RSC）15敗の戦績を残してプロ転向し、フジテレビ系のスポーツ情報番組「ミライ☆モンスター」で何度も取り上げられた逸材だ。
ラスボスは井上尚弥？
誰が世界王座を獲ってもおかしくない強豪ばかり。さらに1階級下のスーパーバンタム級で世界を狙う井上尚弥（30＝大橋）も将来的にフェザー級に上げる可能性がある。
7月25日にWBC・WBOスーパーバンタム級王者スティーブン・フルトン（28＝アメリカ）への挑戦が決まっており、同級でもバンタム級に続いて4団体統一を狙う意向。勝てばWBA・IBFスーパーバンタム級王者マーロン・タパレス（31＝フィリピン）との対戦を目指すことになる。
他にも世界挑戦の機会を待っているランカーは多いため、すぐにタパレス戦が実現するかは分からない。井上はスーパーバンタム級を「ボクサー人生の最終章」と語っており、フェザー級転向には言及していないが、仮に4団体統一を実現した場合、フェザー級に上げて5階級制覇を狙うかも知れない。
そうなればフェザー級はますます熱くなるだろう。堤駿斗は「まずは自分が世界王者になって、いつか対戦できるように」と井上との将来的な対戦を希望している。井上が戦い、那須川天心がデビューしたスーパーバンタム級と、日本人の強豪がひしめくフェザー級が、今後しばらくは日本ボクシング界の中心となりそうだ。
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