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ボクシング五輪メダリストのプロ成績は?37歳・清水聡が世界初挑戦

2023 4/30 06:00SPAIA編集部
清水聡,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

WBOフェザー級王者ラミレスとメダリスト対決

ボクシングの2012年ロンドン五輪男子バンタム級銅メダリストで、前東洋太平洋フェザー級王者の清水聡(37=大橋)が7月25日に東京・有明アリーナでWBO世界フェザー級王者ロベイシ・ラミレス(29=キューバ)に挑戦する。

WBO12位の清水は2016年にプロ転向してから7年で世界初挑戦。ラミレスは清水と同じロンドン五輪男子フライ級で優勝し、2016年リオデジャネイロ五輪男子バンタム級でも2大会連続金メダルに輝いており、五輪メダリスト対決となる。

清水は自身のツイッターで「プロになってからずっと追い求めてきた世界のベルト。勝って必ず自分の物にします!必勝」と炎の絵文字を3つ並べて燃える気持ちを表現している。

ボクシングで日本選手44年ぶりの五輪メダリストとなった清水は、同じロンドン五輪男子ミドル級で金メダルを獲得し、翌2013年にプロ転向した村田諒太とは違い、アマチュアとして2016年のリオ五輪を目指した。しかし、2016年1月の代表選考会で敗れてプロ転向を決意。同年9月に大橋ジムからプロデビューした。

身長179センチ、リーチ181センチとフェザー級にしては恵まれた体格を活かし、KOを量産。最速タイとなるプロ4戦目で東洋太平洋王座を獲得し、世界まで一気に駆け上がるかと思われた。

しかし、2019年7月にWBOアジアパシフィックスーパーフェザー級王者ジョー・ノイナイ(フィリピン)に6回TKO負けでプロ初黒星。その後、再起したものの2021年5月から1年半のブランクを作るなど決して順風満帆ではなかった。

2022年12月にランディ・クリス・レオン(フィリピン)を2回TKOで下して1年半ぶりの勝ち名乗りを受け、ようやく巡ってきた世界初挑戦。37歳という年齢を考えても、このワンチャンスをものにしないと先行きは厳しいだろう。

体格面のアドバンテージ活かしたい清水

とはいえ、ラミレスも相当な強者だ。トップアマとして活躍し、プロ転向後はデビュー戦でまさかの判定負けを喫したものの、その後は12連勝(7KO)と白星を積み重ねて一気に世界王座を獲得した。4月1日にアイザック・ドグボエ(ガーナ)に判定勝ちしてベルトを奪ったばかりで、今回が初防衛戦となる。

清水と同じサウスポーだが、タイプは異なる。身長165センチ、リーチ173センチと大きくはないものの、アグレッシブに前進して左右のパンチを強振。アマチュアエリートのイメージとは程遠い好戦的なボクサーファイターだ。

日本でフェザー級6人目の世界王者を目指す清水としては、徹底的に距離を取って戦うべきだろう。体格面のアドバンテージを活かし、相手を懐に入れさせず速いジャブでペースをつかみたい。逆に潜り込まれると清水の良さが出ないため、苦しい展開となる。

清水が勝てば最年長王座奪取

五輪でメダルを獲得した日本選手は清水を含めてわずか5人。いずれもプロに転向したが、プロでも世界王者となったのは2012年ロンドン五輪金メダルの村田諒太が唯一だ。

1960年ローマ五輪フライ級で銅メダルに輝いた田辺清は、プロ転向後も無敗のまま当時の世界フライ級王者オラシオ・アカバリョ(アルゼンチン)に6回TKO勝ちしたが、右目の網膜剥離を発症して引退。21勝(5KO)1分けの戦績を残し、グローブを吊るした。

1964年東京五輪バンタム級で金メダルを獲得した桜井孝雄は、1968年に世界バンタム級王者ライオネル・ローズ(オーストラリア)に挑んだが判定負け。世界のベルトは巻けないまま引退した。

1968年メキシコ五輪バンタム級銅メダリストの森岡栄治は、プロ転向後11戦しただけで右目網膜剥離のため引退。世界戦のリングに立つことすらできなかった。

清水がラミレスに勝てば、日本の五輪メダリストからプロでも世界王者になった例として村田に続いて史上2人目。しかも37歳での王座奪取は、WBCフェザー級王者・越本隆志の35歳0カ月(初奪取)、世界王座返り咲きを含めても長谷川穂積の35歳9カ月を更新し、日本男子最年長記録となる。

当日のメインイベントは井上尚弥(30=大橋)がスティーブン・フルトン(28=アメリカ)に挑戦するビッグファイト。セミファイナルの清水が“主役”を食うほどの王座奪取劇が期待される。

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