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村田諒太とマスボクシングで対峙した筆者が予想するゴロフキン戦、勝機あり!

2022 4/6 06:00近藤広貴
村田諒太とゲンナジー・ゴロフキン,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

4月9日さいたまスーパーアリーナで世界ミドル級王座統一戦

プロボクシングのWBA世界ミドル級スーパー王者の村田諒太(36)が4月9日、さいたまスーパーアリーナでIBF世界同級王者ゲンナジー・ゴロフキン(39)と王座統一戦を行う。

村田は2012年ロンドンオリンピックのミドル級で金メダルを獲得し、日本で初めてアマチュアとプロの両方で世界の頂点に立ったボクサーだが、ゴロフキンの実績は村田をはるかにしのぐ。

2003年のボクシング世界選手権で金メダル、2004年のアテネオリンピックで銀メダル獲得とアマチュア経験豊富。プロ転向後も43戦41勝(36KO)1敗1分の戦績を残し、KO率83.7%を誇るハードパンチャーだ。世界で最も権威のあるボクシング専門誌「ザ・リング」で常にパウンドフォーパウンド上位にランクされている。

当日はテレビの地上波放送はなく、アマゾンプライムビデオが生配信。ゲストとしてWBAスーパー&IBFバンタム級王者の井上尚弥、解説は元世界3階級制覇王者の長谷川穂積氏や12連続防衛記録を持つ元WBCバンタム級王者の山中慎介氏と豪華な顔ぶれが揃う。

1990年に東京ドームで行われたマイク・タイソンVSバスター・ダグラスをしのぐ、日本ボクシング史上最高額の興行。チケット代もタイソン戦の15万円を超え、リングサイドA席は22万円と高額だ。日本ボクシング界の歴史を変えるビックマッチと言っても過言ではない。

ゲンナジー・ゴロフキンの強みと弱み

ゴロフキンは身長179cm、リーチ178cm。プロアマ通じてノックアウト負けのない世界中量級でトップ中のトップ選手。直近の試合(2020年12月18日)でもカミル・シュルメタに対して4度のダウンを奪って7回終了TKO勝利を収めるなど、試合前日に40歳になるとは思えない圧倒的な強さを示している。

これまでに、淵上誠や石田順裕ら日本人ボクサーもタイトル奪取を狙って挑戦したが、共に3回もたずに倒された。追い足は早くないものの、がっちりと固めたカバーと巧みなボディーワークでじわりじわりと相手選手を追い詰め、圧倒的な強打とコンビネーションをもとにKOの山を築き上げてきた。

村田諒太も2014年、アメリカのカリフォルニア州ビッグベアでの合宿でゴロフキンとスパーリングを行い、「パンチは今までに経験したことのない硬さだった」と脱帽したほどだ。

ただ、これまでの試合展開を見ると、圧力をかけて相手をコーナーに追い込み、自分のペースに持ち込むと強いものの、馬力が強くリング中央で激しく打ち合うタイプに苦戦を強いられている。

2019年セルゲイ・デレフヤンチェンコと行ったIBF世界ミドル級王座決定戦では、デレフヤンチェンコの接近戦に苦しめられ、勝利を収めたものの僅差(3-0:115-112×2、114-113)の判定だった。初回に持ち前のパワーでダウンを奪ったものの、後半は疲れが見え始めパンチを出せず相手のパンチを被弾するシーンが何度も見受けられたのだ。

攻略の鍵は筆者も感じた接近戦での馬力の強さとパワー

一方の村田諒太は18戦16勝(13KO)2敗。下馬評ではゴロフキンより劣るものの、前に出る馬力とパンチ力は世界でも一級品だ。

前戦のスティーブン・バトラーとの初防衛戦(2019年12月23日)も初回から圧力をかけ、5回TKOで勝利している。これまでに敗れたアッサン・エンダムとロブ・ブラントは共に逃げ足の速いアウトボクサーだったが、今回対戦するゴロフキンは撃ち合いを軸とした好戦的なファイターで、村田とはかみ合う。ゴロフキンが大苦戦したデレフヤンチェンコのような接近戦に持ち込めば十分にチャンスはあるだろう。

実は筆者自身、2012年のロンドンオリンピック直前の全日本強化練習で手を合わせた衝撃を今でも覚えている。マスボクシングではあったものの、これまでに感じたことのない接近戦での馬力の強さとブロックの硬さ、パンチ力に驚かされた記憶がいまだに残る。

アマチュア時代から全日本選手権や国際大会で接近戦を軸に勝利を重ねており、デレフヤンチェンコと比べてもアマチュア・プロどちらの実績も豊富でゴロフキンを苦しめることは間違いない。

ゴングが刻一刻と迫る日本史上最高のビックマッチ。強打者同士の戦いから一瞬たりとも目が離せない。

《ライタープロフィール》
近藤広貴(こんどう・ひろき)株式会社Athport代表取締役。高校時代にボクシングを始め、全国高校総体3位、東農大時代に全日本選手権3位などの成績を残す。競技引退後は早稲田大学大学院にてスポーツ科学を学ぶ。現在は母校のボクシング部の指導やスポーツに関する研究を行う傍ら、執筆活動を行っている。

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