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立ち上がったウクライナ人ボクサーたち、ロマチェンコやクリチコ兄弟の実績

2022 3/2 06:00SPAIA編集部
ワシル・ロマチェンコ,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

世界最速3階級制覇のロマチェンコが領土防衛隊に入隊

ロシアの侵攻に対してウクライナのプロボクサーが次々に立ち上がっている。ワシル・ロマチェンコ(34)やクリチコ兄弟、オレクサンドル・ウシク(35)ら日本ではあまり馴染みがないが、世界的に有名な王者たちが徹底抗戦を表明。拳だけで戦ってきた百戦錬磨のボクサーが、自ら武器を持って戦う意思を示しているのだ。

ロマチェンコは北京五輪フェザー級で金メダル、ロンドン五輪ライト級で金メダルを獲得し、アマチュア通算396勝1敗という驚異的な戦績を残してプロ転向した。

2014年6月にプロ3戦目でWBO世界フェザー級タイトルを獲得すると、2016年6月に6戦目でWBOスーパーフェザー級王座も獲得して2階級制覇。2018年5月には帝拳ジムに所属するホルヘ・リナレスを倒してWBA世界ライト級王座も奪取し、世界最速の12戦目で3階級制覇を達成した。

2020年10月にテオフィモ・ロペスに敗れて無冠となったが、2021年6月には米ラスベガスで日本の中谷正義を9回TKOで破り、再起を果たした。プロでは16勝(11KO)2敗の戦績を誇り、一時は全階級を同じ体重と仮定したランキング「パウンド・フォー・パウンド」で1位にランクされるなど、「世界最強」と呼ばれたスーパースターだ。

そんなロマチェンコは領土防衛隊に入隊したことを自身のSNSで報告。Facebookには迷彩服を着て肩からライフル銃を提げた写真(https://www.facebook.com/photo?fbid=521229639369606&set=a.286690032823569)を公開している。

クリチコ兄弟はともに元世界ヘビー級王者

また、クリチコ兄弟の兄ビタリ・クリチコ(50)はウクライナの首都キエフの現役市長。明日が保証されない状況だが、徹底抗戦する姿勢を示している。

現役時代はヘビー級で活躍し、1999年6月にWBO世界ヘビー級王座を獲得すると、一度は陥落したものの2004年4月にはWBC王座も獲得。2005年に引退したが、2008年10月に復帰戦でいきなりWBCヘビー級王座を奪回した。同王座を9度防衛し、引退して政治家に転身。通算45勝(41KO)2敗の戦績を残したボクサーファイターだった。

弟のウラジミール・クリチコ(45)も領土防衛軍の予備役に登録したことが報じられている。

現役時代はアトランタ五輪のスーパーヘビー級金メダルを引っ提げてプロ転向し、2000年10月にWBO世界ヘビー級王座獲得。5度防衛後に陥落したが、2006年4月にIBF王座を奪取すると、その後WBO、WBA王座も統一しながら計18度防衛した。2017年4月にアンソニー・ジョシュアに敗れた一戦を最後に引退。64勝(53KO)5敗の戦績を残している。

現役ヘビー級王者オレクサンドル・ウシクも入隊

オレクサンドル・ウシクは現役の世界王者だ。

ロンドン五輪ヘビー級金メダルを獲得後、プロ転向。ヘビー級より1階級軽いクルーザー級でWBA、WBC、IBF、WBOの4団体統一王者となり、2021年9月にアンソニー・ジョシュアに判定勝ちしてWBAスーパー、IBF、WBOの3団体統一ヘビー級王者となった。このほど領土防衛隊に入隊したことが報じられている。

リング上では無類の強さを誇ったウクライナのボクサーたち。母国を守りたい一心で立ち上がった英雄の無事を祈るばかりだ。

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