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42歳パッキャオ引退か…アジアのスターは井上尚弥が継承へ

2021 8/23 11:00SPAIA編集部
ヨルデニス・ウガスに敗れたマニー・パッキャオ,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

2年1カ月ぶりリングで判定負け、来年の大統領選に出馬?

ひとつの時代が終わりを告げるかも知れない。プロボクシングのWBA世界ウエルター級タイトルマッチが21日(日本時間22日)、米ラスベガスで行われ、スーパー王者ヨルデニス・ウガス(キューバ)が休養王者のマニー・パッキャオ(フィリピン)に判定勝ちした。

パッキャオは2019年7月にキース・サーマン(アメリカ)との統一戦に判定勝ちしてスーパー王者となったが、ブランクを作ったため今年1月に休養王者に降格し、レギュラー王者だったウガスがスーパー王者に昇格。2年1カ月ぶりのリングで自らの保持していたベルトを取り戻すはずだったが、北京五輪ライト級銅メダリストのウガスに敗れた。

パッキャオは来年のフィリピン大統領選に出馬するため、今回がラストファイトになると一部メディアで報じられている。フライ級から6階級制覇したアジアのスーパースターが、ついにグローブを吊るすかも知れない。

フライ級からスーパーウェルター級まで6階級制覇

1995年にプロデビューしたパッキャオは、1998年に世界フライ級タイトルを獲得。2001年に3階級上のスーパーバンタム級を制し、2008年にはファン・マヌエル・マルケスを下してフェザー級王座も獲得し、3階級制覇を果たした。

さらに、その3カ月後にはライト級タイトルも獲得。翌2009年にミゲール・コットにTKO勝ちでウェルター級、翌2010年にはスーパーウェルター級も制して6階級で王者になった。

フライ級リミットの50.8キロからスーパーウェルター級リミットの69.8キロまで19キロの体重差。貧しい家庭で育った身長166センチのフィリピン人が、本場ラスベガスでファンの期待に応えるべくハードトレーニングで階級を上げ、世界の強豪をなぎ倒してきた。まさにアメリカンドリームを実現した「フィリピンの英雄」だ。

戦績は62勝(39KO)8敗2分け。拳2つで戦ってきた72戦で莫大な財産を築き、42歳の現在は上院議員として母国のために尽くしている。まだ引退を明言はしていないが、現役生活が終わりに近づいていることは間違いない。

井上尚弥はカシメロに闘志

では、パッキャオに続くアジアのスターは誰か。現WBAスーパー&IBF世界バンタム級王者・井上尚弥をおいて他にいないだろう。

無敗で3階級を制覇し、計量級とは思えないパンチ力で倒しっぷりも凄まじい。世界で最も権威あるボクシング専門誌「ザ・リング」のパウンド・フォー・パウンド(全階級を同一体重として比較)で世界スーパーミドル級王者サウル・アルバレスに次ぐ2位にランクされ、現在28歳と脂の乗り切った年齢だ。

今月14日(日本時間15日)にはWBO世界バンタム級王者ジョンリエル・カシメロ(フィリピン)がギジェルモ・リゴンドー(キューバ)に判定勝ちし、試合後に中指を立てて井上を挑発した。

これを見た井上は自身のツイッターで「カシメロとの試合が決まったらボクシングというルールの中で叩きのめしたいと思います」「年内対戦希望。過去一燃えてる」と燃えたぎる闘志を隠そうとしない。試合が実現するかどうかはまだ流動的だが、もし両者がリングで対峙すれば、ノニト・ドネア(フィリピン)戦以上に盛り上がるだろう。

井上はバンタム級の4団体統一を目指しており、達成すれば階級を上げ、4階級、5階級制覇も期待される。パッキャオから受け継ぐアジアのスター物語はこれからが本番だ。

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