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【Bリーグ】大盛況に終わったオールスターゲーム 地域活性化の鍵を握るビッグイベントに

2020 1/22 11:00ヨシモトカズキ
バスケットボールイメージ画像
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ⒸSPAIA

今季引退の北海道・折茂が高い得票率でMVPを獲得

1月18日に行われた今季のBリーグオールスターゲーム。NBL、bjリーグでも開かれていたが、Bリーグが始まってからは様々な取り組みで成功を収めている。

昨季中に北海道での開催が決まった後、今シーズン開幕前にレバンガ北海道#9折茂武彦が現役引退を発表。そのためこのオールスターは、折茂の花道となるイベントの一つとして捉えられていた。

スキルズチャレンジに出場した千葉ジェッツ#2富樫勇樹が折茂のユニフォームを着たり、折茂がゲーム本戦最初のポイントを決め、最後のシュートを打って、試合後に胴上げをされたりと、「折茂の花道」と言うにふさわしい内容となった。SNSでの投票となったMVPの選出も、14得点ながら79%の得票率を獲得。5,073人のファンの前で素晴らしいプレーを見せた。

B.Hopeの慈善活動や観客参加型のイベント、SNSを利用したプロモーション等、様々な仕掛けがあったオールスターゲーム。来年は、琉球ゴールデンキングスのホームアリーナになる沖縄アリーナ(今秋オープン予定)で実施される。

昨年の大会から立候補制に、地方クラブの人気アップに繋がるか?

初年度のオールスターは、国立代々木競技場第一体育館(東京)で実施。9,567人の観衆を集め、富樫の「人生初ダンク」が生まれるなど、見どころの多いゲームだった。2回目以降は地方に戦いの場を移し、2017−18シーズンの舞台は熊本。2016年に大地震に遭った熊本の復興支援の色が強かったことに加え、地震直後から復興の象徴になった熊本ヴォルターズ#7小林慎太郎が、今回の折茂のように主役となった。

そして昨季は富山で開催され、地元・富山グラウジーズ所属の大塚裕土(現川崎ブレイブサンダース)が大活躍した。この大会から立候補制が取られ、富山が大阪との戦いを制した。

富山はクラブとしての観客動員数がオールスター実施前のシーズンは2,731人だった。だが、オールスターが実施された2018−19シーズンは3,121人にアップ。この幅(増加率)はB1の18クラブで5番目に大きく、オールスター実施後の2月〜4月は右肩上がりだった。今季は観客動員数が減少しているものの、行政を巻き込んだプロモーションも成功し「Bリーグ」「富山グラウジーズ」という名称が富山県民に広く周知されることとなった。

一方の北海道では、レラカムイ北海道時代の経営破綻から折茂が新たな運営会社の社長になり、経営状況の改善に成功。そして50歳を迎え引退する年に、チームの地元でオールスター開催というドラマがあった。今回はそうしたストーリーと、熊本や富山同様、行政とタッグを組んだプロモーション活動が相まって、道内での注目度がさらに高まることが期待される。

そして来年の沖縄では“Bリーグ初の1万人規模のホームアリーナ”というまさに夢のアリーナでオールスターが開催される。元々バスケット熱が高い沖縄なだけに盛り上がらないわけがない。ただ琉球のクラブとしては、ホームゲームごとに1万人のアリーナを埋めることは大きなチャレンジであり、このオールスター開催を契機に動員数のさらなるアップを図りたい。

地方から人気を高め、オールスターを契機に全都道府県のプロクラブ化へ

こうした背景を見ても、Bリーグが地方から人気を高めようとしていることが分かる。収益や運営を考えれば東京や神奈川で開催をした方が良いだろう。さらに首都圏で開催すればメディアからの注目度も上がり、主要メディアに取り上げられやすくなる。

しかし先述したように、それぞれの地でインサイドストーリーがあり、それを体現するのがオールスターという舞台になっている。いざ開催となれば行政やスポンサー企業など、街を上げてのイベントになるため、クラブとしての周知活動もしやすくなる。地方が盛り上がれば、成功事例としてまだプロバスケットクラブがない県へのアプローチも可能となる。ファンのレベルに目線を落としても、Bリーグを欲している層は多く、Jリーグでもまだ実現できていない全都道府県のプロクラブ化も夢ではない。

今後も様々な可能性を秘めたBリーグオールスターは、スポーツビジネスの新たな形を提供し続けるだろう。