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B1リーグ地区最下位からの逆襲はなるか 新たな戦力を迎え上位進出を目指す3クラブ

2019 8/31 11:00SPAIA編集部
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若き司令塔に実績のある帰化選手…初のCS出場を狙う大阪

今季のBリーグも多くの選手が移籍し、慌ただしいオフシーズンとなった。その中でも主力を大幅に入れ替えたクラブもあり、彼らの戦いには大いに注目が集まる。

その一つが西地区の大阪エヴェッサ。初年度からチャンピオンシップ出場を逃しており、Bリーグ4年目の今季は大きな勝負に出た。

2シーズン、日本人選手のリーディングスコアラーだった熊谷尚也(→川崎ブレイブサンダース)、ベテランの木下博之(→引退)がチームを離れたが、京都ハンナリーズから#2伊藤達哉、琉球ゴールデンキングスから#33アイラ・ブラウンが加わったのだ。

伊藤は新進気鋭の司令塔で、強心臓とトリッキーなプレーが持ち味。昨季は1試合平均8.6得点、4.8アシストを記録し、チームを引っ張った。ケガが多いのが難点だが、大阪の新たな顔として攻撃を牽引することは間違いない。

ブラウンは今年で37歳ということもあり年々数字を下げているが、それでも昨季は1試合平均7.7得点、6.3リバウンドを記録。またランニングプレーを得意としており、伊藤との華麗な速攻が見られそうだ。さらには身体能力の高い#7リチャード・ヘンドリックスとインサイドスコアラーの#54ショーン・オマラ、外角シュートが得意な#55ジョシュ・ハレルソンとタイプの違う外国籍を揃えた。

大阪の課題は得点力不足と明確だ。昨季は18クラブ唯一の1試合平均60点台(68.6点)。FG%も最下位と得点力不足は深刻だった。その原因は司令塔が定まらなかったことと3Pシュートに頼っていたことにあるため、伊藤が定着し外国籍選手が前評判通りの活躍を見せれば課題は克服できるだろう。

昨季から3Pシュート成功数は8本と高水準だっただけに、外角シュートの確率を維持しながら、今季はペイント内の得点を増やしていきたい。

攻守の総合力を上げた北海道、東地区で一矢報いることができるか?

昨季の成績は10勝50敗とリーグ下位に沈んだレバンガ北海道。残留プレーオフで勝利し、辛くもB1残留を果たしたが、ヘッドコーチが途中で交代するなど厳しいシーズンを送った。

クラブとしては年々収益を上げるなど、順調な経営を続けてきており、今季はその好調さが選手補強に現れた。

昨季はリーグ17位の71.1得点、同17位の82失点と攻守ともに打開策を見出だせなかった。そこで今季は、攻撃では#2マーキース・カミングス、#1ケネディ・ミークスと機動力のあるフォワードタイプの選手を獲得。中でもカミングスは名古屋ダイヤモンドドルフィンズに契約解除されるまで、23.2点と得点ランキング上位を走りスピード感溢れるプレーを披露した。名古屋Dの平均得点が79.2点から81.2点になり、攻撃のテンポが速くなってシュート試投数も2本増えたのは、カミングスの存在が大きかったと言えるだろう。

またディフェンス面では#0橋本竜馬を獲得。橋本は一昨季ディフェンス王を獲得するなど、第一線から相手にプレッシャーをかけられるのが強みだ。橋本のディフェンスはスティールやブロックが多いわけではないため、その力はなかなか数字に現れないが、ガッツ溢れるスタイルでチームメイトを発奮する力もありそうだ。帰化選手で体を張れる#6ファイ・パプ月瑠の獲得も大きい。

昨季の平均得点の低さを考えれば、もう一枚日本人スコアラーが欲しいところだが、そこはともに平均2点台だった#7中野司、#16内田旦人の若手2選手に期待したい。

中地区・横浜はチーム力で勝負。日替わりヒーロー登場の予感

横浜ビー・コルセアーズはチームの核を入れ替えて新シーズンに臨む。 3季続けて残留プレーオフに出場する憂き目を見ていたクラブは、Bリーグ以降チームを支えてきた川村卓也(シーホース三河に移籍)、細谷将司(秋田ノーザンハピネッツに移籍)らを放出し、陣容が様変わりした。

横浜はディフェンスの悪さが致命的で、得点に関しては川村や細谷など得点力のある日本人選手がいることで75点と及第点ながら、平均失点は84.2で最下位。その前のシーズンも80点超えに加え、アシスト数も18.7本の14位タイと攻守で組織力が課題となった。試合序盤で勝敗が決する試合も多く、15点差以上で敗れた試合は17試合にものぼった。

そこで今季は大胆にも3年間主力を務めた選手たちを放出。#10アキ・チェンバースや#46生原秀将と攻守ともに力のある選手を獲得した。その中でも注目はチェンバース。昨季まで在籍した千葉ジェッツではディフェンダーとしての役割を担い、多くの得点源を封じ込めてきた。横浜で求められるのはそのディフェンスに加えてオフェンス力。走力があり、主にランニングプレーが多かったが、今季は得点源としてハーフコートでの得点力も必要になる。

それは生原、司令塔の#21田渡凌も同様で、川村がチームを離れたことで日本人の絶対的な得点源が不在。これまでは“川村頼み”のオフェンスだったが、今季は誰もが得点でき、組織力で勝負するという意気込みが布陣を見れば理解できる。そうすればリーグ下位に終わったアシスト数も自然と増えてくる。

そしてこれまでの弱点だったディフェンス力の強化に向けては、チェンバース、北海道から移籍の#16牧全らが中心になってくるだろう。

これまでBリーグでは外国籍選手と平均10点以上が見込める日本人スコアラーを揃えることが勝利へのセオリーと見られていたが、総合力で勝負する今季の横浜の戦い方がBリーグの新たなスタイルとなるか注目したい。

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