「最も成長できる環境」
バスケットボールのワールドカップで日本代表としてパリ五輪の出場権獲得に貢献した馬場雄大(27)が、今季からBリーグ1部(B1)に昇格する長崎ヴェルカに加入することになり26日、長崎市内で会見した。
「Bリーグに戻るからには優勝を目指してやっていきたい。僕はNBA選手になるためにやっているし、これからもそれは変わりません。その中で環境面や経験のある方が多い長崎ヴェルカなら、パリ五輪に向けて最も成長できる環境だと感じたのでこのチームを選びました」
富山県出身の馬場は2019年までアルバルク東京でプレー。2019年7月にダラス・マーベリックスの一員としてNBAサマーリーグに挑戦し、NBAの二軍にあたるGリーグのテキサス・レジェンズで41試合に出場した。
2020年7月にはオーストラリアのメルボルン・ユナイテッドに移籍して30試合に出場し、チームの優勝に貢献。2021年10月からテキサス・レジェンズに復帰するなど、海外で経験を積んできた。長崎入りで5季ぶりのBリーグ復帰となる。
W杯でパリ五輪決めるも「個人的には納得していない」
会見に同席した伊藤拓摩社長兼GMはテキサス・レジェンズでアシスタントコーチをしていた時から馬場と親交があったものの、NBA入りを目指している本人の熱い気持ちを知っていたため、2021年に長崎のGMになってからもオファーは出していなかった。
しかし、ワールドカップ終了後に連絡を取ったところ、馬場が日本も選択肢のひとつとしていることを聞いて9月中旬に長崎で極秘に接触。チームのビジョンやスタイル、長崎の街などについて説明し、契約合意に至ったという。
馬場は会見で、伊藤GMだけでなく、NBAクリーブランド・キャバリアーズのトレーナーをしていた中山佑介氏の存在が長崎入りの決め手のひとつになったことを明かしている。あくまでバスケットボール人生のゴールはNBA。夢を実現するために、環境の整った長崎でさらに腕を磨き、パリ五輪でアピールすることが重要なのだ。
その胸の内には「ワールドカップではチームとしてパリ五輪を決められたことは嬉しかったし、新たな歴史を作ることができましたが、個人的には納得していない。もう少し自分の力を見せたかった」という悔しさがある。
開幕戦は富樫勇樹のいる千葉、第2節は故郷・富山
馬場にとっても挑戦ではあるが、長崎にとっても今季は挑戦のシーズン。昨季はB2リーグ西地区で43勝17敗の2位だった。B1の大舞台を戦う上で最高の補強ができた上、チームや街に与える波及効果は計り知れない。長崎は間違いなく盛り上がるだろう。
伊藤GMは「プレー面もそうですが、大学からプロ、オーストラリアでも優勝経験があり、彼の持っているプロとしてのスタンダードが長崎にいい刺激を与えてくれると思います」と期待する。馬場もまだ選手たちと会っていないとした上で「5年前にB1で2シーズンやった経験は伝えられる。積極的にコミュニケーションを取って共有できたら」とトッププレーヤーとしての経験を惜しみなく伝授するつもりだ。
背番号は18。初戦は10月8日に千葉ジェッツ戦(長崎県立総合体育館)が控えている。馬場は「ワールドカップで負傷した箇所があるので調整次第ですが、開幕戦に向けてベストな準備をしたい」と意気込む。
千葉にはワールドカップで日本代表としてともにプレーした富樫勇樹がいるだけに「敵として戦うのはいつぶりかと思いますが、千葉ジェッツはBリーグの顔と言ってもいいチームなのでチーム一丸となってやっていきたい」と意欲満々だ。
さらに2週目の10月14、15日は故郷で富山グラウジーズ戦が控えており、「とっても楽しみにしている」と笑顔を見せた。
196センチの長身を活かしたダンクシュートが代表的なプレーのひとつで「馬場ブーン」と称されるが、「この1シーズンにかける思いが強いので、今までにない自分を見せていきたい」と並々ならぬ意気込みを表明した馬場。ワールドカップで今まで以上に盛り上がることが期待される今シーズン、Bリーグに長崎から新たなムーブメントが起こるか注目だ。
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