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【Bリーグ】アルバルク東京が劇的逆転勝ち、田中大貴が気迫の15得点

2021 11/16 11:00窪島亮
田中大貴,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

島根に敗れて首位陥落も連敗阻止

13日の対島根スサノオマジック第1戦で敗れて連勝が4でストップし、B1東地区の首位から一歩後退したアルバルク東京が、翌14日の第2戦で劇的な逆転勝ちを収めた。

日本代表の田中大貴を中心としたチームはライアン・ロシター、セバスチャン・サイズというビッグマンに安藤周人という好シューターを加えた贅沢な布陣を揃え、連敗が許されない状況だった。

急遽、先発登録されたポイントガードのジョーダン・テイラーの体調が思わしくないため、試合の大半をポイントガードでプレーすることとなった田中。試合をコントロールしてオフェンスをリードするだけでなく、前日は7得点止まりだった得点面でもチームを牽引する存在にと期待されていた。

田中は前半だけで7得点

同じく日本代表の島根・金丸晃輔のシュートで幕を開けた14日の一戦。島根は安藤誓哉、白濱僚祐の3ポイントシュートなどで優位に試合を進めた。第1Qを終わって21対13、昨日から続く流れに、この日も島根が優勢かと思わせた。

第2Qに入ると、ようやく田中のシュートにエンジンがかかる。正面のジャンプショット、ゴール下でのレイアップシュートなど得点を重ね、A東京を牽引していく。アレックス・カークも勢いに乗り、一時30対31と逆転するシュートを放った。

前半を終わって34対33。どちらが勝ってもおかしくない接戦で、田中は前日1試合通して挙げたのと同じ7得点を前半だけで記録、負けたままでは終わらないという気迫に満ち満ちていた。

第3Q、田中のフリースローで幕を開けたクォーターで、再び島根が息を吹き返す。安藤の3ポイントシュートで反撃すると、リード・トラビスの2本の3ポイントシュートで再び点差を広げ、54対50。A東京も小酒部泰暉、ロシター、サイズの得点でなんとか食い下がり、勝負を最終クォーターへと持ち越す。

第4Q、再び田中のシュートがA東京の希望の光となる。サイズのシュートで点差を詰めると、田中が2連続得点で一気に54対56と試合をひっくり返す。島根がニック・ケイのシュートで追いつくが、再び田中が左45度からのジャンプシュートを沈め、リードを奪った。

ここで金丸が起死回生の3ポイントシュート。これを成功させると、安藤誓哉もゴール下へドライブで切り込み、試合終盤で再び3点を勝ち越した。対するA東京は安藤周人のダンクが決まって61対60、しかし、残り時間はわずか19秒。ボールの所有権は島根へ移り、絶体絶命の瞬間だった。

ファウルゲームをしようにもチームファウルはまだ2しかなく、相手がフリースローするまでに時間がかかってしまう。A東京はこの状況でどのようなプレイを選択するのか。

残り8秒で逆転

ここでカークが信じられない好プレイをする。スローインのボールをはたきに行ったカーク。ボールは島根のケイの足に当たってアウトオフバウンズへと出た。スティールとなり所有権はA東京に移った。

このしびれる場面、プレイがリスタートされた後にボールを受けたサイズは、冷静にジャンプシュートを沈めて、残り時間8秒で試合を逆転したのだ。

最後は残り時間5秒で小酒部が安藤誓哉からボールを奪いシュート、フォローしていたサイズがシュートをダンクで沈めて勝敗は決した。A東京が絶体絶命の状況から勝利した、稀に見る劇的な展開となった。

田中はチーム2位の15得点を挙げ、アシストでもチーム1位の7個を記録。日本の誇る万能プレーヤーはポイントガードでも目立った活躍を見せた。この1勝は、これから半月のオフに入るチームにとって貴重な1勝となる。今季絶好調の島根からもぎ取った、1勝以上の価値のある白星だった。

田中にとって、東京オリンピックで代表チームのキャプテンを務め、A東京でも新たにキャプテンに就任した今年。忘れられない1年にするために良い起爆剤となっただろう。

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