SPAIA単独オンラインインタビュー
新型コロナウイルスの感染拡大に多大な影響を受けた2020年のスポーツ界。八村塁のNBA入りで盛り上がっていたバスケットボール界も例外ではない。Bリーグの2019-20シーズンは途中で打ち切られ、開幕が危ぶまれた2020-21シーズンは観客数の制限などレギュレーションを変更した上で開催されている。
誰も経験したことのないシーズンをプロアスリートはどのように過ごし、これからどう戦っていくのか。川崎ブレイブサンダースの辻直人選手(31)がSPAIAの単独オンラインインタビューに応じ、率直な胸の内から好きな競馬の話まで大いに語った。
自粛期間中からヨガに取り組み柔軟性アップ
―コロナ渦で異例のシーズンを過ごしてきた感想は?
辻直人(以下、辻):最初は無観客試合とか開幕が遅れるという噂もあった中で、半分でもお客さんが入ってくれて、声援を送ることができない中でハリセンを使った応援とか、クラブが工夫していろんな演出をして雰囲気を出してくれてるのをありがたく思いながらプレーしています。
チームメートやファンの皆さんと一緒に勝利を積み重ねて優勝を目指す過程を楽しんでますね。
―練習や試合でも難しいことが多いのでは?
辻:慣れてきたとは思います。練習前後では施設内をスタッフが消毒してくれたり、試合でもスタッフやボランティアの方々が今までよりたくさん携わっているので、みんなでつくり上げていってる感が強いですね。
ⒸKAWASAKI BRAVE THUNDERS
―厳しい状況の中で、逆によかったことはありますか?
辻:練習だけではなく、体のケアやセルフマネージメントに時間を費やすようになったので、それが今シーズンのパフォーマンスにつながってると思います。自宅にいる時間が長くなったので、今までやってなかったことに取り組むことができました。
―具体的には?
辻:自粛期間中からYouTubeで配信されているヨガの動画を観ながら30~40分くらいやっています。柔軟性がすごく出てきたので、効果はあると思います。今まで体幹トレーニングとかも好きじゃなかったんですけど、ヨガが今シーズンのパフォーマンスにつながってますね。
チャンピオンシップのファイナルでMVPが目標
―2020年を総括すると?
辻
:今までは家族と過ごす時間が少なかったんですが、子供(5歳長男と2歳長女)と一緒にいる時間が増えたんで、家族への愛情がより大きくなりました。誰かのためにやりたいというのが強くなった1年でした。
―来年以降、個人やチームとしての目標は?
辻:チームとしてはBリーグや天皇杯で優勝したいし、絶対にタイトルを獲りたいです。個人としては、チャンピオンシップのファイナルでMVPをとるのが目標です。それがチームの優勝に一番貢献してることだと思うので、そういう立場にもう一度立ちたいという思いがすごくあります。31歳でもまだまだ成長できるところを見せつけたいですね。
―年齢的な衰えは感じますか?
辻:疲れの部分です。次の日に疲労感が出ます。
―回復が遅くなったと?
辻:そうですね。一番感じるところです。
プレー以外でもファンやスポンサーの力になりたい
―話を広げて、バスケットボール界全体を見た場合、今後どうなってほしいですか?
辻:(2019年に)ワールドカップという世界の舞台に立てたのが第一歩。スタートラインに立ったことでBリーグの盛り上がりにもつながってるし、バスケットボール人気が出てきています。やっぱり日本代表が世界で戦う姿や結果が求められてくると思います。
サッカーに似てますが、NBAに入った八村選手や渡邊雄太選手のように海外でプレーする選手が増えることで、バスケットが注目されることにつながると思います。そして、日本が世界で勝てるように、Bリーグを通じて日本人選手が成長しないといけないし、そのために今は頑張る時間なのかなと思います。
―辻選手もまだまだ代表でという気持ち?
辻:そうですね。呼ばれれば全力で頑張りますけど、年齢が年齢なんで。僕自身の今の目標はBリーグでタイトルを獲りたいのが一番です。
ⒸKAWASAKI BRAVE THUNDERS
―コロナ渦でも応援してくれるファンへの思いは変わりましたか?
辻:今までと違って我慢してもらわないといけないことが多い中で、大変な思いをしながらも応援してくれてる方がたくさんいます。ファンだけでなく、スポンサー様もそうです。僕たちはプレー以外でも力になれることがあると常々思ってるんで、やっていきたいです。
―具体的に考えていることは?
辻:4月にオンラインでファンと交流するイベントをして、その参加費としていただいたお金を川崎のホームアリーナに出してくれている飲食店の皆さんに全額寄付しました。そういうことをすることで多くの方に大変な状況だと気付いてもらえるんで、オフシーズンには積極的にやっていきたいです。
趣味の競馬はコロナでマイナス…
―辻選手は競馬もお好きだと聞きました。馬券は毎週買ってるんですか?
辻:試合時間によって買えない時もありますが、買える時は買ってます。
―馬券のスタンスは?
辻:3連単のフォーメーションですね。保険で馬連ボックスとか。
―今年の収支は?
辻:コロナのせいでめちゃくちゃマイナス(笑)。自粛期間はずっと家にいて競馬をする時間が増えたんで。
―SPAIA AI競馬も活用してください。
辻:迷いに迷って結論が出ない時はAI競馬を見て買います。コロナでやられた分を取り返したい(笑)。
―12月27日に有馬記念がありますが、買いたい馬は?
辻:クロノジェネシスは気になります。調教や枠順にもよりますが、軸か頭で買うつもりです。
ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
―最後にSPAIAのユーザーに対してメッセージを。
辻:こういう状況でいろんな影響を受けて大変な方が多いと思いますが、スポーツ選手もその中の一人です。いつシーズンが終わるか分からないし、お客さんが入らない状況が続くと、スポーツ選手は生活する上でのお金に直結します。
そんな状況でも、スポーツ選手はプレーで表現することによって観ている方にたくさんのものを与えられる存在だと思います。だからこそ、プレーする姿も大事だし、それ以外でもできることはたくさんあると思っています。選手がそういう思いを持ってプレーしていれば、観ている人に届くと信じています。
辻直人(つじ・なおと)1989年9月8日、大阪府出身。洛南高時代にウィンターカップ2連覇、青山学院大時代には全日本大学選手権2連覇を果たす。2012年に川崎の前身・東芝ブレイブサンダースに加入し、日本代表としても活躍。身長185センチ、体重82キロ。
ⒸKAWASAKI BRAVE THUNDERS
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