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NBA八村塁の足跡は世界への扉を開いた中田英寿と酷似する

2020 2/19 11:00高須基一朗
(左から)馬場雄大、八村塁、渡邊雄太ⒸChrisMarion/NBA
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ⒸChrisMarion/NBA

1、2年目選手のオールスター戦に出場

八村塁が、日本バスケット界の歴史を次々に塗り替えている。これまで田臥勇太、富樫勇樹ら日本人プレイヤーが本場アメリカNBAへ挑戦したものの思い描いた結果を残せず、志半ばで帰国という歴史を繰り返してきたが、ルーキーイヤーからしっかりと結果を残し続けている。

そして、快進撃は更に続く。アメリカ現地時間の2月14日(金)にNBAの1年目と2年目の選手のみで選出、構成されるオールスターの前哨戦「ライジングスターズチャレンジ」が開催され、世界で10人のみが選出される世界選抜チーム「WORLD」に日本人として初めて八村塁が抜擢されたのだ。日本人プレイヤーならば、誰もが願う夢物語でしかなかったことを彼は実現させた。

選出された理由もうなずける。今シーズンが開幕すると毎試合のように得点を重ね、1年目にして所属するウィザーズの中心選手の一人として活躍を続けているからだ。アベレージで得点が13.9、リバウンドが5.9と、NBAロースターの選手たちの平均値を超えている数字はホンモノの証だろう。

14得点7リバウンド4アシスト

数字のみがNBAでは評価の対象であるがゆえに、この数字がライジングスターズの選出に大きな影響を与えたことは間違いない。そして、このライジングスターズでの雄姿を一目見ようと現地取材へ。

試合が始まると、第1Qから八村がインパクトを残す。昨年度2018-2019シーズン新人王のルカ・ドンチッチ(スロベニア)から八村へ、豪快なアリウープパスが成功したシーンは、なんともいえぬ夢見心地な瞬間だった。

会場のユナイテッド・センターⒸ堤嶋佑三

Ⓒ提嶋佑三


また試合前には、大学時代から常にライバルと称され、対戦するチームUSAに抜擢されたザイオン・ウィリアムソンに対して、彼の上を飛んでダンクをしたいとマスコミ向けのリップサービスを届けるなど、コート内外でのヒーロー性は目を見張るものがある。

NBAオールスターズの前哨戦である「ライジングスターズチャレンジ」での八村塁の結果は堂々たるもので、14得点7リバウンド4アシストを記録。先発で出場し、プレイングタイムは20分となり、この晴れ舞台でも中心選手の一人だったことを物語る。

セリエAで日本人の実力を証明した中田英寿

この煌びやかな快進撃は、1998年からセリエAで度肝を抜くプレイをし続けたサッカー界のレジェンド・中田英寿を彷彿とさせる。中田英寿も世界を相手に日本のサッカーを開拓した第一人者であり、彼が切り開いた世界への扉が、当たり前に日本人プレイヤーが世界で戦う今日の状況をつくった。

20年前、欧州イタリア・サッカーでは日本人の技術では絶対に通用しないと言われていたが、中田がその常識を覆し結果を残し続けて、日本人プレイヤーの存在と価値を世界へ知らしめた。あの時の強烈なインパクトと今の八村の活躍は、どこかかぶる。

おそらく、これと同様に八村塁のNBAでの活躍がカンフル剤となり、あと5年もしたらアメリカNBAで日本人が活躍する環境は当たり前になると思っている。八村のように欧米人に負けない屈強な体格を持つ未来を約束された、2mを優に越えるハーフの日本人選手が今後もゴロゴロと登場するだろう。

170cm超える小学生プレイヤーが続く

実は、2年前の3月に、渋谷サンロッカーズのユースのトライアウトへ顔を出したことがある。そのトライアウトでも、八村と同様に黒人と日本人のハーフで、小学生ながら既に170cm以上のプレイヤーが何人もいた。

小学生だった彼らも、あと数年したら海外で活躍できるプレイヤーへ成長していることだろう。日本人である八村塁がNBAの舞台で当たり前に活躍する姿を、幼少期より見ている彼らにとって、海外への挑戦はさほどハードルの高いものと感じないからだ。

そういった海外でのバスケットを身近に感じさせてくれる意味でも、八村塁の功績は目に見える数字だけではなく、日本バスケット界が大きな飛躍を遂げるきっかけになってくれている。