パリ五輪出場権を懸け初戦はドイツ戦
4年に1度のバスケットボール世界一決定戦、男子ワールドカップ(W杯)が8月25日、日本、フィリピン、インドネシアの共催で開幕する。
1950年の第1回ブエノスアイレス大会から2010年トルコ大会まで「世界選手権」の名称で行われてきたが、スペインで開催された2014年大会から「W杯」に大会名を変更。世界最高峰の米プロバスケットボールNBAで活躍する一流プレーヤーも参戦し、来年のパリ五輪出場権を懸けて熱戦を繰り広げる。
日本はパリ五輪予選を兼ね、アジア最上位に与えられる出場権を獲得できれば、1976年モントリオール大会以来となる開催国枠以外での五輪出場となる。
米メディアによると、NBAの名門レーカーズと3年総額5100万ドル(約73億円)で再契約したエース八村塁は来季への準備優先で欠場することになったが、2021年東京五輪で女子バスケを史上初となる銀メダルに導き、男子監督に転じた56歳のトム・ホーバス監督の緻密な戦略と情熱的な指導力で期待は高まる。
1次リーグは32チームが8組に分かれ、日本は沖縄アリーナが会場となるE組。8月25日の初戦で大会の大きな鍵を握るドイツと当たり、8月27日にフィンランド、8月29日にはNBA勢がそろう強豪オーストラリアと対戦する。
敬語も交える熱血漢は「言葉の魔術師」
「私たちはスーパーチームですよ!」。通訳を付けず、東京五輪で日本の敬語も交えて女子日本代表を叱咤激励してきたホーバス監督は「昭和の頑固お父さん」と慕われた熱血漢。徹底して3点シュートの成功率を上げる戦術と選手をその気にさせて結束させる手腕は「言葉の魔術師」とも表現された。
米中西部のコロラド州出身。ペンシルベニア州立大卒業後の1989年にポルトガルリーグのスポルティングでプロ生活をスタートさせた。翌年、日本リーグのトヨタ自動車に入団し、3点シュートの名手として4季連続で得点王に輝いた実績を持つ。
東京五輪で女子の躍進を支えた革命的な戦術の土台も3点シュートとスピードを生かした攻撃だ。外角シュートを積極的に放ち、速さが武器のガード陣が中に切り込むスタイルは男子でも共通している。
サッカーW杯、野球のWBCに続く歓喜を
バスケW杯の日本代表は「八村不在」とはいえ、個性派ぞろいの好選手がそろう。
NBAネッツからフリーエージェント(FA)になっていた206センチの渡辺雄太は3点シュートや守備力が海外でも評価され、7月4日にサンズと契約。昨季ネッツで1試合平均16分プレーして5.6得点を記録し、3点シュート成功率44.4%だった実績も追い風になる。
Bリーグ勢では日本を代表するガード、千葉Jの富樫勇樹と横浜BCの河村勇輝が注目。ともに卓越したスピードとパスセンスを持ち、小柄ながらシュート力も抜群だ。
NBA下部Gリーグのレジェンズに所属した馬場雄大のドリブル突破力、全米大学体育協会(NCAA)1部ネブラスカ大のロングシューター富永啓生も貴重な戦力になりそうだ。
サッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会、3大会ぶりに世界一に輝いたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の熱狂に続き、日本がバスケットボールで世界を驚かせることができるか―。まずは1次リーグ突破へ初戦のドイツ戦が正念場となる。
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