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【WBC】鬼門の準決勝に挑む侍ジャパンが試される不慣れな地での勝負強さ

2023 3/18 06:00SPAIA編集部
侍ジャパンの栗山英樹監督
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Ⓒゲッティイメージズ

5大会連続で準決勝進出

第5回ワールドベースボールクラシック(WBC)を戦う日本代表「侍ジャパン」は16日、準々決勝のイタリア戦(東京ドーム)に9-3で快勝。5大会連続での準決勝進出を決めた。次戦はアメリカのマイアミ・ローンデポパークで日本時間21日8時から、プエルトリコとメキシコの勝者と対戦する。

一次ラウンドを含めてここまで5戦全勝の侍ジャパン。47得点、11失点と内容でも他国を圧倒しており、3大会ぶりの世界一へ意気揚々とアメリカでの戦いに挑むことができそうだ。

だが、決勝ラウンドからは、対戦相手のレベルが格段に上がることが予想される。一次リーグで戦った中国、韓国、チェコ、オーストラリアにはメジャーリーガーはほぼおらず、いたとしても数人程度。準々決勝で対戦したイタリアもエンゼルスで大谷とチームメイトのデビッド・フレッチャーら数人で、マイナーの選手中心の陣容だった。

しかし、準決勝以降はメジャーリーガー中心のチームと戦うことになる。日本の準決勝の対戦相手候補となるプエルトリコとメキシコは、ともにスタメンがほぼメジャーリーガーで占められている。相手チームの強さはこれまでと段違いであることは間違いないだろう。

侍ジャパンのWBCはここからが本番といっても過言ではない。

2大会連続敗退と鬼門の準決勝

侍ジャパンは2006年にWBCの初代王者に輝き、2009年には連覇を成し遂げたが、2013、2017年はいずれも準決勝で敗退。2大会連続で準決勝の壁に阻まれている。ここで、過去4大会の侍ジャパンの勝ち上がりを振り返ってみると、戦いの場がアメリカへ移ってから苦戦していることが見てとれる。

優勝した2006、2009年は第2ラウンドからアメリカで戦うレギュレーションだったため、このラウンドで苦戦を強いられた。2006年はアメリカ、韓国に敗れ1勝2敗となったが、1勝2敗で並んだ3チームの中で「失点率」が最も低かったため、辛うじて準決勝に進出。2009年も韓国に敗れて敗者復活戦に回ってからの連覇だった。

第2ラウンドまで日本開催となった2013、2017年は、いずれもプールトップで決勝ラウンドに進出したが、渡米した直後の準決勝で敗れた。国内組メインで構成される侍ジャパンにとっては時差ボケに加え、試合をする球場や現地の気候など慣れない環境で、いきなり負けたら終わりの一発勝負を戦うのは、酷な状況だといえる。

2013年からのレギュレーション変更は、第2ラウンドを慣れ親しんだ場所で戦うメリットを享受できた一方で、世界一を目指すにあたっては足枷となってしまっているのかもしれない。

全勝で3度目の世界一へ

ただ、今回の侍ジャパンは過去2大会とは違い、心強い味方がいる。2013年はゼロ、2017年は青木宣親のみだったメジャーリーガーが、今回はダルビッシュ有、大谷翔平、吉田正尚に加え、初の日系人選手としてラーズ・ヌートバーも参戦。2009年の5人に次ぐ4人が顔を揃えただけに、3大会ぶりの優勝への期待は大きく膨らむ。

また、チームは準々決勝のイタリア戦後には、チャーター機でマイアミへと移動。時差ボケや疲労を最小限に抑えられるよう、選手たちを全面的にバックアップしている。

ここからは大谷らメジャーリーガーたちの活躍はもちろんだが、NPBを代表する選手たちが決戦の地でも実力を発揮できるかがカギを握りそうだ。投手では、準決勝での先発が予想される佐々木朗希に日本球界のエース・山本由伸、野手では準々決勝で快音を飛ばした村上宗隆、岡本和真ら主軸の活躍が不可欠だろう。

過去最強との呼び声高い侍ジャパン。ここまでの戦いではその前評判に違わぬ力量を示している。鬼門の準決勝を突破し、3度目の世界一を初の全勝で飾り、名実ともに最強の称号を手にしたい。

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