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一級品のフォークを生かすために ロッテ岩下大輝の先発としての課題とは?

2020 3/24 11:00浜田哲男
ロッテ・岩下大輝選手ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

開幕までに復調なるか

プロ入り5年目の昨季は、主に先発として21試合に登板。5勝(3敗)、防御率3.64と飛躍の足がかりを作ったロッテの岩下大輝。先発ローテーション入りが期待される今年、2月19日のDeNA戦(練習試合)では3回もたずに9安打8失点、3月4日のオリックス戦(オープン戦)で5回9安打5失点、12日の楽天との二軍戦でも5回8安打5失点と打ち込まれている。

フォークやスライダーが抜けて高めに浮いたところを痛打されるシーンが目立ち、昨季の悪いパターンが再び課題として出てしまっている。

現状の先発陣は、美馬学、石川歩、西野勇士、種市篤暉、二木康太、小島和哉と枚数が揃っており、岩下は厳しい立場に置かれている。だが、現段階で開幕は早くても4月24日という状況になっており、調整期間が延びたことは岩下にとっては幸いだろう。今後の調整により、再び先発ローテーション入りを首脳陣にアピールしたいところだ。

先発投手としての課題

岩下の決め球といえば投球の約25%を占めるフォーク。被打率.185と優れた数値をマークしており、投球を組み立てる上での生命線だ。しかし、球種が少ないため打者に絞られ、浮いたところを狙われるケースも昨季は散見された。

投球の約15%を占めるスライダーもあるが、被打率は.300と打ち込まれており、組み立ては直球とフォークに偏っている(全体の約85%)。岩下が先発投手として勝負していくには、やはりある程度の球種は持っておきたい。

仮にリリーフなら、短いイニングの登板で同一打者と何度も対戦することはほとんどない。そのため、岩下であれば最速153kmの威力ある直球とフォークでどんどん攻めていけばいいが、先発ではそうはいかない。2巡目には打者の目も慣れるため、見極められ、芯でとらえられるケースが増えてしまう。ある程度の球種があれば、そのリスクを抑えることができる。

また、岩下の直球は威力があるが、立ち上がりに制球の定まらないケースが多い。そのため、昨季は西武やソフトバンクといった強力打線につかまっていた。対戦チーム別の被打率をみると、日本ハムは.205、オリックスは.158と抑えているものの、西武には.303、ソフトバンクには.269と分が悪い。

元巨人でメジャーでも活躍した上原浩治のように直球と何種類かのフォークを精密機械のように制球できれば話は別だが、なかなか難しい。昨季は直球で9本、フォークでも5本の本塁打を打たれており、制球力の向上と球種増は喫緊の課題といえる。特にフォークで5本被弾したのは気がかりだ(同じくフォークを武器にする先発投手の種市はフォークの被本塁打1本、二木は2本)。

一級品のフォークを生かすために

どっしりとした体格と威圧感のある投げっぷり、そしてフォークのキレは一級品だ。その軌道は、横浜やマリナーズで一時代を築いた大魔神・佐々木主浩や、オリックスで活躍した平井正史といった名クローザーを彷彿とさせる。昨季はストライクゾーンの中で変化する、またはストライクからボールに鋭く変化する落差のあるフォークで三振を奪うシーンを幾度となく目にした。

これを生かすためには、左打者ならカットボール、右打者ならツーシームなど内側に食い込むボールをものにしたい。配球のバリエーションを増やすことで落ちるボールがより有効になる。その上、芯を外して打たせることもできて球数も減り、より多くのイニングを投げられるはずだ。

その一方で、威力のある直球と三振のとれるフォークが武器であることを考えれば、岩下をクローザーとして起用してみるのも一考ではないだろうか。

今季もクローザーは、実績のある益田直也が務めることが想定される。だが、岩下が先発でうまく機能しない、他の先発投手でローテーションを十分にまかなえるという状況であれば、益田との併用で試してみる価値はある。長いイニングを投げる際にはどうしてもペース配分など色々と気を使うが、岩下は小細工せずに少ない球種でガンガン攻める方がハマるかもしれない。

ただ、昨季先発で5勝を挙げている岩下本人にとってみれば、今季は先発として確固たる地位を確立することが第一目標に変わりはないだろう。まずは開幕までに復調することが最重要課題。2軍でくすぶっていたら元も子もない。

先発投手として白星を重ね、首脳陣の信頼を得ることができるか。岩下にとって今後の野球人生を占う勝負の年になりそうだ。

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