昨季はリーグ2位の得点をマーク
昨季は新設されたホームランラグーンやレアードの加入などが大きく、前年から約2倍となる158本塁打を放ったロッテ打線。得点も642で西武に次ぐリーグ2位と打撃面で数字を伸ばした。一方で盗塁数は前年と比較して約半数の75と減少。2018年に井口資仁監督が掲げた走塁革命は2年と続かず、機動力に課題を残した。
そんなロッテ打線に今季からソフトバンクからフリーエージェント(FA)で福田秀平が加入。ドラフトでも佐藤都志也(東洋大)や高部瑛斗(国士舘大)、福田光輝(法政大)と即戦力の野手を獲得した。また、昨季活躍したブランドン・レアードや途中加入ながら14本塁打をマークするなど走攻守で一定の活躍を見せたレオネス・マーティンも残留。FAで鈴木大地は楽天へ移籍したものの、それなりに打撃陣の層は増した。
今回はそんなロッテ打線の2020年開幕オーダーを予想する。
これまでの状況を加味したオーダー
予想する開幕オーダーは2種。まずはここ数年の傾向や各選手の実績、井口監督の意向、ここまでの対外試合での結果などを加味したオーダーを予想する。
まず1番はほぼ当確といえる荻野貴司。昨季は開幕まで不振を極め、ルーキーの藤原恭大に開幕1番の座を譲ったが、シーズン序盤から定位置の1番に戻ると見事に復調。最終的に自身初の規定打席に到達しリーグ3位の打率.315をマーク。ベストナインにも初選出された。
2番は井口監督も公言している福田秀平。ここまでの練習試合では3番を打つ機会が多いが、開幕すればおそらく2番に入るだろう。井口監督はS級の走力を備えた荻野との1・2番コンビでかき回すイメージを描いている。
そして3番は中村奨吾。昨季はシーズン序盤、試合前に負った顔面の負傷が影響したのか打率.232に低迷し、盗塁数も前年の39個から12個に激減。昨季は主に6番を担っていたが、ブレイクした2018年に固定されていた3番で再起を図ってもらいたい、というのが指揮官の思いではないだろうか。中村が3番である程度の活躍を見せれば、1番から3番まで足を使えて併殺を回避できる確率が高いことも大きい。
中村同様に脚力があり、長打力を持ちあわせているマーティンの3番も考えたが、マーティンは左投手に苦戦しており(2019年の対左投手の打率.154)、前を打つ福田も同様に左投手を苦手としている(.135)。左腕が先発の際に厳しくなるし、今後の中長期でのチームづくりを見据えて中村を3番にした。
4番は井上晴哉。中村同様、2018年に井口監督がシーズンを通して起用し続け、ブレイクした。昨季は前年よりも打率は低迷したものの、24本塁打を放ち出塁率も.362と及第点。長打力はやはり魅力だ。4番としてのさらなる成長を指揮官も願っているはずだ。
また、指名打者として角中勝也が入るのであれば、昨季の開幕スタメン同様、5番と予想。長打力のある井上の後に粘りのある角中という並びは、相手バッテリーにしてみても神経を使うだろう。
続く6番・7番にマーティンとレアードとしたが、今後の開幕までの中村や井上の調子の良し悪しにより、この2人がクリーンナップを打つ可能性も十分にあるだろう。また、指名打者に昨季2軍で2冠王(本塁打・打点)に輝いた安田尚憲を起用する可能性も十分に考えられ、その場合には安田が7番に入ると予想した。
そして9番には、ここまでの対外試合(2月26日時点)で毎試合のように安打を放ちアピールに成功しているルーキーの福田光輝。様々な内野のポジション、打順に入れて試されているが、思い切りの良いスイングで広角に鋭い打球を飛ばしている。まだ調整段階での投球だったとはいえ、広島の剛腕フランスアからも初見で安打を放つなど即戦力であることを改めて見せつけ、存在感は日に日に高まっている。
井口監督は2018年の開幕スタメンに当時ルーキーだった藤岡裕大と菅野剛士を抜擢。2019年には当時ルーキーの藤原を抜擢している。福田がこのままの調子でいけば、開幕スタメンへの抜擢も十分に考えられるだろう。少なくとも、平沢大河や三木亮がそれぞれ怪我を抱えて調整が遅れている分、1軍に残る可能性は高いだろう。
毎回好機を作るためのオーダー
そしてもうひとつのオーダーは、開幕オーダーというわけでもなく、上記のオーダーとは違う角度から考察したもの。出塁して好機を作る打者と長打で走者を返す打者を分散させて配置し、どこから始まっても得点が期待できる、いわば毎回好機を作れるような打順だ。
長打力のある井上、レアード、マーティンを分散させ、その中でも最も得点圏での打撃が期待できる井上を3番に置く(2018年の得点圏打率.342、2019は.277、通算.289)。
レアードの2019年の得点圏打率は.231(通算.245)、マーティンの2019年の得点圏打率は.188と低いこともあり、打席数の多くなる3番には井上を入れる。初回に必ず打席がまわることもメリットだ。現巨人2軍監督の阿部慎之助が、ヤクルトの3番に一時期バレンティン(現ソフトバンク)が入っていたことについて、「初回に強打者を迎えるのは本当に嫌」と語っていたことがある。現時点でチームで最も期待できる打者の井上を3番に入れるのは面白いかもしれない。
4番には角中を起用。2019年の得点圏打率は.267(通算.277)だが、出塁率(通算.368)が高い角中を4番に置けば、初回に3者凡退しても2回には出塁の期待できる角中から始まる。そして5番にもチャンスメーカータイプの中村を配置。6番には長打力のあるレアードを置く。
また、マーティンに関しては長打力に加えて、出塁率(2019年は.342)が高く走力もあるため9番がハマる可能性もある。打順がマーティンから始まる場合には、荻野、福田と走力のある打者が続いていき、井上に回ればビッグチャンスになりうる。
クリーンナップに強打者を並べることもひとつだが、上位打線と下位打線に迫力の差があれば相手にとっては気持ちの抜き所ができてしまう。毎回のように気が抜けない打線を組んでみるというのも一考だ。
いずれにせよ、今季のロッテは機動力のあるプレーヤー、長打力のあるプレーヤーのバランスが近年においては最も良いのではないだろうか。指揮官がシーズンを通してどうやり繰りしていくのか注目したい。
2020年プロ野球・千葉ロッテマリーンズ記事まとめ