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鳥谷敬がロッテにもたらすメリットとは 昨季の細川亨のような役割に期待?

2020 3/11 06:00浜田哲男
阪神時代の鳥谷敬選手ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

虎のレジェンドが加入

昨季限りで阪神を退団した鳥谷敬の新天地がロッテに決まった。プロ野球史上歴代2位の1939試合連続出場、阪神の通算安打数歴代1位となる2085安打をマークするなど文字通り阪神の顔であり、球史にも名を残すレジェンドとも言える。

今回は、鳥谷が加入することによりロッテが得られるメリットを考察する。

若い内野陣の生きた教材になる

まず考えられるのが、内野陣の層に厚みをもたらすこと。鳥谷自身が1軍枠を勝ち取ることが前提ではあるが、二遊間と三塁を守れる鳥谷の加入は、若手が多く経験不足・技術不足の感が否めない内野陣にとって生きた教材となるはずだ。

遊撃のレギュラー候補には藤岡裕大、ルーキーの福田光輝、故障で出遅れている三木亮や平沢大河らがひしめいているが、レベルの高い争いとは言い難い。

また、二塁のレギュラー候補は中村奨吾だが、昨季序盤の不運な怪我から打撃の調子を崩しており、2018年に見せた走攻守にわたっての勢いが影を潜めている状態だ。シーズンに入ってからもピリッとしなければ、福田光の二塁での先発起用もあるかと考えていたが、そこに鳥谷という選択肢も増えることは大きい。

鳥谷は1軍にいるだけでは満足しない。試合に出続けるという高い意識を持っているプレーヤーであるがゆえ、コンディション次第では中村もうかうかしていられないということだ。全盛期ほどの動きはできなくとも経験は十分。鳥谷には、中村や藤岡らのお手本となるだけでなく、危機感を与えるぐらいの存在感を示してほしい。

細川亨の加入で実感したベテランの必要性

井口資仁監督が就任して以来、安田尚憲や藤原恭大ら高卒の逸材を獲得するなど野手陣の若返りを図っているが、強いチームは必ずと言っていいほど若手・中堅・ベテランが上手くかみ合っている。

昨季ロッテに加入したベテラン捕手の細川亨は、試合終盤にリリーフ捕手という形で出場し、救援投手陣を熟練のリードで牽引。近年、救援陣が崩壊し僅差の試合を終盤にひっくり返されることが多かったが、細川の巧みなリードがチームに安心感を与え、勝利に導く光景を何度となく目にした。

井口監督が、鳥谷をどういう形で起用しようとしているかは分からないが、長いシーズンの勝負所で必ずベテランの力は必要となる。

また、内野の様々なポジションを守れるという意味でも鳥谷の存在は大きい。阪神での最終年は代打での出場が主で、打率.207と振るわなかったが、心機一転、環境を変えたことで復調する可能性は十分にある。

2人の指揮官と若手とのパイプ役

ロッテでは、1軍の井口監督と2軍の今岡真訪監督が密にコミュニケーションを取り、チームの方向性、若手野手の育成方針など様々なことを共有し実践している。

例えば、安田の育成方針にしても、今岡監督が「日本を代表するバッターに育てることが命題」と話すように、昨季は1軍に1度も上げずに2軍で4番を打たせ続けるなど、中長期のビジョンでじっくりと育成に取り組んでいる。

そんな2人の指揮官と鳥谷は旧知の仲。鳥谷は井口監督を尊敬して止まず、長年にわたって自主トレをともにするなど親交が深い。また、鳥谷と今岡監督は、ともにレギュラー(三遊間コンビ)として2005年阪神のリーグ優勝に貢献。井口監督、今岡監督の良き理解者であるとともに、2人の監督と選手との間のパイプ役としても期待できる。

何より生きた教材として、球界でも屈指と言われる練習量が若手に好影響を与えるだろう。

真のレギュラー像を背中で伝える

近年のロッテには、3年~5年と試合に出続けている、いわゆる真のレギュラーと呼べるプレーヤーは多くない。挙げるとすれば、楽天へ移籍した鈴木大地、角中勝也、田村龍弘といったところだ。

2018年に井上晴哉と中村奨吾がそれぞれシーズンを通して試合に出場し、ある程度の数字は残した。だが、真のレギュラーと認められるには、何年も続けて数字を残していかなければならない。

そうした意味では、ルーキー時代から長年にわたって試合に出続け、ベストナイン6回、ゴールデングラブ賞5回、2000本安打など、数々の記録を残してきた鉄人・鳥谷の存在はこれ以上ないお手本となる。レギュラーとしての心構え、練習への取り組みなど、レギュラーとは何ぞやということを背中で伝えられるはずだ。

鳥谷加入のメリットは多い。井口監督がどう起用していくのか。若手野手たちがどんな影響を受けて成長をしていくのか。何よりも鳥谷自身がどこまでやれるのか。今後の動向に注目していきたい。

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