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去就に注目の阪神・鳥谷が誇るべき1000四球

2019 8/28 06:00楊枝秀基
現役最多の1043四球を選んでいる阪神・鳥谷ⒸSPAIA
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イチローより多い現役最多1043四球

球界トップクラスの眼力を持つ男と言っていいだろう。阪神・鳥谷敬は8月26日現在でNPB現役最多の1043四球を選んでいる。すでに達成している2000安打に加え、遊撃手として歴代最長の667試合連続フルイニング出場や、セ・リーグ最多のシーズン490補殺など記録に残る選手として実績は申し分ない。

ただ、この四球数をどう判断するのか。歴代の2000安打、1000四球を達成している選手(NPB通算で歴代15人、日米通算では松井秀喜、福留孝介、イチローを含めて18人)を見渡してみると、当然ながら錚々たる面々が名を連ねている。その中でみれば鳥谷は逆に特殊にみえてしまうのだ。

通算四球ランキングⒸSPAIA

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ほとんどの打者はバッテリーから勝負を避けられるような超スラッガーで、敬遠四球も目立つのだが、鳥谷はその中でいずれも最少の138本塁打、24敬遠。純粋に選球眼で勝ち取った四球が多いと言っていい。

比較的近い時期にプレーし、四球数も近い中村紀洋は1030四球に対し404本塁打、64敬遠であることをみればタイプの違いがよくわかる。

日米通算4367安打を放ったイチローでさえ、鳥谷より少ない通算1031四球、昨年2000安打を達成し、セ・パ両リーグで首位打者を獲得したソフトバンク・内川聖一は通算490四球だから、いかに鳥谷の数字が際立っているか分かるだろう。

現役四球ランキングⒸSPAIA

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IsoDが選球眼の良さを証明

四死球によってどの程度出塁したかを表すIsoDという指標(出塁率から打率を引いた数値)がある。鳥谷の場合は通算で.090(出塁率.370-打率.280)、過去最高は2013年の.120(出塁率.402-打率.282)となっている。

鳥谷成績ⒸSPAIA

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故意四球や、長打を警戒しての配球とは関係なく、アウトになりにくい厄介な打者ということだ。通算記録だけで見ると、王貞治の数字がずば抜けていて難しくなるが、今年のセ・リーグIsoDランキングに当てはめればよく分かる。平均水準で .070ほどとなっていることから、鳥谷の選球眼の良さが証明されている。

IsoDランキングⒸSPAIA

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阪神の一時代を築いてきた鳥谷だが、近年は出場機会に恵まれていない。今季は5年契約の最終年となっており去就に注目が集まる。今季最後の神宮球場での試合となった25日のヤクルト戦後には、「自分もこれが最後になるかもしれないので…」とドキッとする発言も出た。アウトになりにくい、脅威のつなぎ打者の今後の動きから目が離せない。

※数字は8月26日現在