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4年周期で首位打者のロッテ・角中勝也 ゴールデンイヤーの今季、再び輝きを

2020 2/7 06:00浜田哲男
ロッテの角中勝也選手ⒸYoshihiro KOIKE
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ⒸYoshihiro KOIKE

昨季はシーズンを通して低迷

昨季、独立リーグからドラフト指名された選手として初の1000安打をマークするも、打率.258と低迷したロッテの角中勝也。開幕こそスタメンで出場したが、4月は打率.220、5月は.210と不振にあえぎ、5月末には左大腿直筋肉離れで出場選手登録を抹消された。戦列に復帰した7月以降も、9月の.258が最高で打率が3割以上の月はなく、シーズンを通して本来の打撃が影をひそめた。

ここ数年は外野の一角を占めていた角中だが、昨季途中加入のマーティンが残留し、ソフトバンクからフリーエージェント(FA)権を行使して福田秀平が加入した。昨季リーグ3位の高打率.315を記録した荻野貴司も含め、外野争いは激しさを増している。スピードが持ち味のこれらの選手に比べ、守備の面では分が悪いだけに、角中本来の打撃が復調するか否かが試合に出るための鍵を握る。

課題は対左投手

課題は明確だ。昨季の対右投手の打率.272に対し、対左投手は.200と大分落ちる。元々、右投手を得意としている傾向があるが、それでも打率.339で首位打者を獲得した2016年には、左投手に対し打率.308(右投手は.357)と打ち込んでいた。外野手の層が厚くなる中、昨季のように左投手に苦しむ状況が続けば、試合に出続けることは難しくなる。

また、どのコースを打っているかを視覚的に表す「打者ヒートマップ」をみると、右投手に対してはストライクゾーンの左右高低を満遍なく安打にしているが、左投手となると外角低め以外はあまり打てていないことがわかる。とはいえ、新加入の福田も対左投手は.135と苦手としており(対右投手は.295)、規定打席に到達した経験はない。他の選手の状態の良し悪しもあるが、首位打者を2度獲得した角中が本来の打撃を取り戻せば、出場機会を得る可能性は十分にある。

しかし、ここ3年は打率が.260前後と低迷しており、今後もこのような状態が続けばDHでも使いにくくなる。近年ロッテがAクラス入りした2013年、2015年、2016年では、どのシーズンも角中が規定打席に達してある程度の数字を残しているだけに(2013年打率.288、2015年.293、2016年.339)、チームが巻き返しを図るためのキーマンのひとりであることは間違いない。

また、角中が好調の際は広角に打ち分ける打撃が目立つが、打球方向別の打率をみると、昨季はセンター方向が.209、レフト方向にいたっては.149と低迷、一方でライト方向へ引っ張る打球は.524。首位打者を獲得した2016年は、センター方向.306、レフト方向.266、ライト方向.539と、どの方向にも安打を放っていただけに、センターを中心に広角に打ち分ける打撃が復調すれば本調子と言えるだろう。

再び首位打者争いに加わるような活躍を

今季でプロ入り14年目を迎えるが、まだ32歳。まったくもって老け込む年ではない。2018年は交流戦で打ちまくり、6月の月間MVPに輝くなど打線を牽引したが、後半戦に失速して結局打率.265に終わった。固め打ちも得意で打ち出したら止まらないイメージもある角中だが、シーズンを通してコンスタントに打つことが理想だ。

昨季プロ入り初の規定打席に到達した荻野も、これまで規定打席に到達していない福田も、シーズンを完走できるかといえば疑問符がつく。たとえ開幕スタメンの座を逃したとしても角中のバットが必要な時期は必ず来るし、タイトルホルダーとしての実力と経験に期待したい。初の首位打者を獲得したのが2012年、2回目が2016年。4年周期で首位打者を獲得しており、2020年はゴールデンイヤーにあたる。角中が首位打者争いに加わるような活躍を見せれば文句なくレギュラー。チームも上位争いに絡んでいけるはずだ。

ある程度のコンディションをキープしている角中が、相手投手にとって嫌な打者であることには間違いない。いるといないのでは打線の怖さ、嫌らしさが違うと言われるような本来の姿を取り戻してほしい。

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