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西武打線のキーマンは金子侑司 「裏1番打者」から真のリードオフマンへ

2020 2/5 06:00青木スラッガー
西武の金子侑司選手ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

不動のリードオフマン・秋山の穴をいかに埋めるか

今季こそは日本一を成し遂げたい西武。秋山翔吾がメジャー挑戦で退団し、チームの強みである打撃面において、その穴をいかに埋めるかが今季最大のポイントとなるだろう。

昨季の秋山は3番打者として開幕を迎えた。開幕当初は絶不調だったが、5月に入ってから定位置の1番に戻ると完全復活。以降は不動のリードオフマンとしてリーグ優勝に大きく貢献した。1番での出場時は打率.315、OPS.871と抜群の成績を残しており、その穴をカバーするのは簡単ではない。

・秋山翔吾:1番出場時(506打席)
打率.315/出塁率.397/長打率.474/14本塁打/OPS.871

ただ、秋山が抜けても中軸の破壊力が抜けていることに変わりはない。昨季の西武の打順別打撃成績を振り返ると、3番から6番までOPS.800を超えた。3番は主に秋山、外崎修汰森友哉、4番も山川穂高から中村剛也へと中軸の並びが目まぐるしく変わっていく中で、各打者が柔軟に対応して結果を残した。

表1西武の打順別成績ⒸSPAIA


クリーンナップは全員が長打率.500を超えたが、長打率.500オーバーが2人以上並んだのは西武のみ。他チームでは1人いるかどうかというレベルの打者が3人並ぶ圧倒的な打力を誇った。

表2パリーグ・クリーンナップの長打率ⒸSPAIA


その中軸打者たちは走者を置いたときにめっぽう強いという点で共通する。順当にいけば今季のクリーンナップの並びは昨季首位打者の森、本塁打王の山川、復活した中村と予想されるが、いずれも「走者あり」の場面では一段上の打撃を見せている。

表3森・山川・中村「走者あり」打撃成績ⒸSPAIA


できるだけ走者がいる状況で彼らクリーンナップに打席を回していきたい。そういう観点から見ても、やはり出塁能力の高いリードオフマンの存在が重要となる。

「裏1番打者」の役割を果たしていた金子侑司

今季の1番打者として候補になるのは金子侑司や外崎、バランス型新外国人野手のスパンジェンバーグといったところだろう。2番の源田壮亮を繰り上げる可能性もある。良い打者が多いだけにパターンはいくつも思い浮かぶが、走力のことを考えると昨季41盗塁を決め自身2度目の盗塁王に輝いた金子が定着するのが理想ではないだろうか。

昨季の金子は開幕からしばらく1番打者で起用されたが、1番出場時の打率は.213と結果を残せなかった。最終的に2018年と同じ9番に落ち着き、シーズン打率は.251。ただ、9番出場時は打率.280、出塁率.350と好成績を残しており、打撃面で成長の跡は見られた。

・金子侑司:1番出場時(175打席)
打率.213/出塁率.297/長打率.232/0本塁打/OPS.529

・金子侑司:9番出場時(212打席)
打率.280/出塁率.350/長打率.333/2本塁打/OPS.683

9番から出塁して強打者の秋山につなぎ、塁上でかき回して中軸のタイムリーを呼び込んでいたという意味では、「裏1番打者」的な役割を果たしていたと言えるだろう。その勢いをつなげ、真のリードオフマンへと飛躍できるか。2020年型西武打線のカギを握る金子の打撃に注目していきたい。

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