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ロッテ・二木康太 「低め」以外でも勝負できるかが成長の鍵

2020 1/9 11:00浜田哲男
ロッテの二木康太投手ⒸYoshihiro KOIKE
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ⒸYoshihiro KOIKE

不完全燃焼のシーズン

ロッテの二木(ふたき)康太はプロ入り6年目となった2019年シーズン、22試合に登板。チームトップとなる128回2/3を投げ、2018年の4勝を上回る自己最多タイの7勝を挙げた。それでも負けが先行し、リーグワーストの10敗。イニングイーターとしての役割はある程度果たしたものの、首脳陣やファンからの期待に応えたとは言い難い成績だった。

このオフにそれまで背番号「18」を背負っていた涌井秀章が楽天へ金銭トレードとなったことを受け、二木の背番号が「64」から「18」へ変更されることが発表された。二木に対する球団の期待の表れだが、2020年はエースと呼ばれるに相応しい投球を見せられるか、よりいっそうの注目が集まる。

直球を簡単に弾き返される

2019年シーズンの前半戦は多くの試合でQS(6イニング以上を投げ、かつ3自責点以内に抑えること)をマークするなど、ある程度安定した投球を続けていたが、後半戦になると失速。8月に入ってからシーズン最終戦となった9月24日の西武戦までの6試合で4敗を喫し、特に前出の西武戦では1回2/3を投げて5失点するなど西武打線に序盤でノックアウトされた。

この試合では際どいコースを狙いすぎて四球や死球でピンチを招き、走者をためてから手痛い一撃をくらっていたが、直球をいとも簡単に弾き返されていた。この試合に限ったことではないが、やはり直球である程度勝負できないと、かわしていく投球に陥って悪循環となり、どんどん苦しくなる。元々直球は140km前後と決して速いわけではないが、得意のフォークで三振を立て続けに奪っている時には直球のキレもある。シーズン通して力強くキレのある直球を投げ続けられるか、二木にとって大きな課題だ。

低め以外でも勝負できるように

二木の生命線はまぎれもなくフォーク。190cmの長身から繰り出す落差のあるフォークがウイニングショットであることは明白だ。調子の良い時にはカウント球としても決め球としても機能しており、打者がフォークを意識するあまり、130km台中盤の真ん中付近の直球を空振りするケースも見られた。

球種配分をみても、フォークの割合は2016年シーズンが約19%、2017年が約24%、2018年が約26%、そして2019年が約27%と徐々に増加。被打率も毎年2割前後から半ばをキープし、安定している。

また、2019年のゾーン別データをみると、左打者でも右打者でもほとんどの三振を低めの球で奪っている。シーズン計115の三振を奪っているが、そのうちの実に82個が低めの球によるもの。つまり、それだけフォークが機能していると言えるのだが、反面、そこを見極められると一転して投球が苦しくなるという脆さも併せ持っていることになる。

ど真ん中に投げて奪った三振は、左打者1個、右打者2個。真ん中および高めの球での奪三振が少ないが、直球や他の球種を駆使して低め以外でも三振をとれるようになると、武器のフォークをますます生かせるはずだ。スライダーの被打率は2016年.386、2017年.339と打ち込まれていたが、以降は安定。2018年.203、2019年.234と、ある程度機能するようになっており、今後はスライダーの使い方も鍵になりそうだ。

自身初の二桁勝利、勝ち越しを

今季は好投を見せた試合でも、自分の投球を問われると「全部がダメでした」「課題は全部です」と話していた二木。「もっとやれるはずだ」といった高い意識があるからこそ出てくる言葉だと思うが、好投した次の登板で打ち込まれることも散見される。

今季はソフトバンクから4勝(防御率.3.00)を挙げ、楽天戦でも4試合に登板して防御率2.28をマークするなど好投しているが、西武戦(6.41)、日本ハム戦(6.97)、オリックス戦(6.75)は打ち込まれている。得手不得手がはっきりし過ぎていることは、プロ入り後に二桁勝利がなく勝ち越したシーズンが一度もない要因のひとつとして挙げられる。

2016年シーズンから4年連続で100イニング以上を投げ、良くも悪くも様々な経験を積んできたとともに、イニングイーターとしての資質も見せている。2020年は自身初の二桁勝利と勝ち越し、そしてシーズンを通して1軍のローテーションで投げ続けること。二木が今後エースとしての階段を昇っていくのであれば、最低限のノルマとも言えるだろう。背番号も心機一転。18番に相応しい活躍に期待したい。

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