24歳となった1995年生まれ世代
プロ野球の世界は生まれた年(学年)でくくられて呼ばれることが多い。たとえば、1980年4月2日〜1981年4月1日生まれの「松坂世代」。松坂大輔(西武)をはじめ和田毅(ソフトバンク)や藤川球児(阪神)といった選手たちが2020年シーズンも現役続行を選択した。彼らが、「松坂世代の~」と語られることは珍しくない。
全ての世代に松坂世代のような中心的な存在がいるわけではない。ただ、誰かが圧倒的な成績を残していても「◎◎世代」と呼ばれないこともあれば、誰か一人ではなく多くの選手が実績を残しているがゆえに、そう呼ばれないこともある。1995年生まれ世代(1995年4月2日〜1996年4月1日生まれ)は、現時点では後者であろう。
2019年シーズン、1995年生まれ世代の選手の多くが24歳になった。高卒6年目、大卒であれば2年目のシーズンであり、期待の若手からチームの主力となってもいい年齢である。1995年生まれ世代の選手たちは、どのような活躍を見せたのだろうか。振り返ってみたい。
森友哉がMVPに輝き、周東佑京が躍進
野手では森友哉(西武)が圧倒的な成績を残した。一般的に捕手は打力で劣るため、下位打線を任されることがほとんど。また現在のプロ野球では捕手の併用制をとる球団もあり、そもそも規定打席に到達しない捕手が多い。そのような状況のなか、正捕手として主軸を打ち、パ・リーグ首位打者とMVPを獲得、チームをリーグ連覇に導いている。推定年俸は2億円の大台に到達した。誰もが認める「打てる捕手」と言っていいだろう。
また、彗星の如く現れたのが周東佑京(ソフトバンク)である。2019年シーズン開幕直前に支配下登録されると、4月6日に一軍昇格。以降は一度も二軍に降格することなくシーズンを完走した。
規定打席には到達していないものの102試合に出場。打率.196(102打数20安打)と苦しんだが、25盗塁を記録し足でアピールした。盗塁成功率は83.3%で、パ・リーグにおける20盗塁企図以上の選手の中では最も高かった。その足という最大の武器が認められ、プレミア12で侍ジャパン(日本代表)入りをはたしたことは記憶に新しい。
ほか、渡邉諒(日本ハム)は二塁のレギュラーを勝ち取り、初の規定打席に到達。田中賢介の跡を継ぐ存在となりそうだ。若月健矢(オリックス)や上林誠知(ソフトバンク)、奥村展征(ヤクルト)も同じ世代となるが、確固たる成績を残すには至っていない。
森や渡邉、若月、上林、奥村は高卒。大卒の選手では周東のほか、島田海吏(阪神)や楠本泰史(DeNA)らが同世代となる。また、大卒の社会人では小深田大翔(大阪ガス)が2019年ドラフト1位で楽天に指名された。大卒社会人のドラフト1位だけに、1年目からの活躍も期待できる。
山岡泰輔、松井裕樹がタイトルを獲得
一方、投手では多くの選手が結果を残している。2019年シーズンに最高勝率のタイトルを獲得した山岡泰輔(オリックス)、セーブ王に輝いた松井裕樹(楽天)が世代を引っ張る。
その他にも田口麗斗(巨人)や東克樹、平良拳太郎、砂田毅樹(いずれもDeNA)、大竹耕太郎(ソフトバンク)、二木康太(ロッテ)、髙橋遥人(阪神)と、すでに好成績を挙げている選手が野手と比べると多い。世代としての層が厚いのである。
高卒で入団した松井や田口、高卒社会人の山岡、大卒の東や大竹と様々な経歴から活躍する者が出ているのも興味深い。2019年ドラフト会議では宮川哲(東芝)がドラフト1位で西武から指名されており、開幕ローテーション入りが期待されている。
このように1995年生まれ世代では、投手の方が多く活躍している。野手では森が凄まじい打撃を見せ、周東が飛躍したが、投手に比べるとやや見劣りする感は否めない。またこの世代を一人が代表するのではなく複数の選手が競い合っており、「◎◎世代」という呼び名は生まれていない。
まだ24歳であり、これから躍進する選手も現れるだろう。今後も1995年生まれ世代に注目していきたい。
※数字は2019年シーズン終了時点
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