リーグ2位でCS進出も飛び抜けた数字はなし
2019年のDeNAは71勝69敗3分の2位でクライマックスシリーズに進出している。野手陣では、ネフタリ・ソトが本塁打と打点の2冠王に輝き打線を引っ張った。その他にも筒香嘉智やホセ・ロペス、宮﨑敏郎と強打者が揃っているが、意外にもチーム成績は伸び悩んだ。

上記の表を見てもわかる通り、596得点(リーグ3位)、打率.246(リーグ5位)、163本塁打(リーグ3位)と、チームとして飛び抜けてよかった打撃項目はなかった。一方の投手陣も611失点(リーグ5位)、防御率3.93(リーグ5位)、137被本塁打(リーグ3位)となっており、こちらも苦しんだ印象だ。
6年連続で阪神に負け越し
対戦チーム別の戦績を見ると阪神戦で大きく苦しんでいる。2019年は8勝16敗1分と借金8。2位で出場したクライマックスシリーズでは、3位の阪神に敗れ、ファイナルステージ進出を逃してしまった。
DeNAが阪神を苦手にしているのは、2019年に限った話ではない。最後に勝ち越したのは2013年(14勝10敗)となり、2014年以降は6年連続負け越し。毎年3つ以上の借金を喫しており、6年間のトータルでは借金38、勝率.370は、まさに天敵といっていい。来季もAクラス、そして1998年以来のリーグ優勝を成し遂げるためには、対阪神の苦手克服が必要不可欠だろう。
【2014年〜2019年の対阪神・戦績】
2014年:8勝16敗
2015年:11勝14敗
2016年:9勝15敗1分
2017年:10勝14敗1分
2018年:8勝17敗
2019年:8勝16敗1分
トータル:54勝92敗3分、勝率.370
出塁率、盗塁数がリーグワーストもK/9はリーグトップ
チーム成績で気になるのは出塁率だ。DeNAの出塁率.315はリーグ最下位だった。その状況の中、出塁率.388でチームトップの出塁率を誇る筒香嘉智がポスティングシステムを利用して、タンパベイ・レイズへと移籍。新外国人選手や若手たちに、いきなり筒香と同等以上の出塁率を求めるのは酷だろう。その他の選手達の奮起が求められる。
また、盗塁数40もリーグワーストだった。さらには盗塁成功率60.6%もワーストとなっている。この結果もあり、ラミレス監督はシーズン終了後に盗塁を含めた「走塁改革」を掲げ、意識から変えようと働きかけている。
筒香という主砲が抜け、チームとしての長打力が減少することは明らか。その穴を埋めるためにも、盗塁を含めた走塁面での改革が必要という判断だ。盗塁数、盗塁成功率ともに向上させることで、筒香の穴を少しでも補っていきたいところだろう。
投手陣では奪三振の多さが目を引いた。1172奪三振、K/9(1試合あたりいくつの三振を奪うことができるかを表す指標)8.28はともにリーグトップの数字だった。先発投手陣ではエースの今永昇太はK/9が9.85となっており、山口俊(巨人)についでリーグ2位。規定投球回には到達していないものの濱口遥大(9.29)も9を超えていた。
中継ぎ投手陣では、スペンサー・パットン(11.05)、国吉佑樹(10.51)、エドウィン・エスコバー(10.51)と3人のK/9が10を超えていた。先発、中継ぎともにK/9の高い投手が揃っていたのである。
このようにDeNAは飛び抜けた数字がほぼない中、なんとか勝ちを拾いながら混戦だったセ・リーグで2位に滑り込んだ。しかし、2020年シーズンは主砲の筒香が抜けるため、戦い方を変えていく必要があるだろう。契約を延長したラミレス監督がどのような戦略を取るか楽しみだ。