巨人がヘラルド・パーラを獲得
日本シリーズでの4連敗からおよそ1ヶ月後の11月20日、巨人はヘラルド・パーラと契約したことを発表した。パーラはベネズエラ出身の32歳。2009年にダイヤモンドバックスでMLBデビューを果たし、2011年と2013年にはゴールドグラブ賞を獲得した。メジャー11年で、1312安打、88本塁打。左投げ左打ちで、外野ならどのポジションでも守れる。
基本的な情報はこのくらいにしておこう。もっとパーラについて、伝えるべきことがあるからだ。なにを隠そう、パーラこそが今シーズン、ワシントン・ナショナルズに初のワールドチャンピオンをもたらした原動力なのである。
最初の化学反応
パーラがナショナルズにやってきたのは、シーズン途中の5月9日だった。ナショナルズとしては、5月上旬から離脱していたフアン・ソトのサポートメンバーだったアンドリュー・スティーブンソンが負傷し、その穴を埋めようという意図があったわけだが、いま考えればその存在感は余りあるものだった。
「パーラが加わって化学反応が起きたんだ。ナショナルズは究極のチームになった。彼の情熱がチームに伝染したんだよ」
ナショナルズが初のワールドチャンピオンに輝いた直後、チームのエースであるマックス・シャーザーは興奮しながらそう言った。
シャーザーが言うところの“化学反応”は、早くもパーラが移籍してきて2日後に起こった。それはアウェイでのドジャース戦だった。その日の先発は奇しくもシャーザーで、7回裏まで2失点の好投。ただ、打線はドジャース投手陣の前に0点に抑えられていた。8回表にナショナルズにチャンスがめぐってきた。1点を返し、2アウト満塁の場面でパーラに打席が回った。マウンドにはディロン・フローロ。ドジャースのその右腕は2019年シーズンにまだ1点も取られていなかった、この日までは。
2ボール2ストライク、ドジャースタジアムには三振を求める声援があふれていた。パーラが放った打球は、その声援を割くようにライトスタンドへ一直線に飛び込んでいった。
試合後のインタビューで、女性のキャスターは言った。
「ようこそ、ナショナルズへ」
狂想曲「ベイビー・シャーク」
その満塁ホームランから1ヶ月余りが経過した6月19日。パーラは打席への登場曲として、童謡「ベイビー・シャーク」を採用した。そもそもは彼の娘が「ベイビー・シャーク」の大ファンで娘を喜ばせるために使用することになったのだが、のちにその可愛らしい曲はナショナルズ全体のムードを爆発させる狂想曲になった。
「ベイビー・シャーク」が流れると球場の雰囲気は一変する。パーラの娘だけでなく、チームメイトも、ファンも、ワシントンD.C.の連邦機関で働くお堅い官僚たちもきっと、みんなその曲が流れるとヒートアップするのである。
「ベイビー・シャーク」が、いかにナショナルズに良い影響を与えていたかは数字を見れば明らかである。その曲をパーラが登場曲として使い始めて以降、ナショナルズは59勝31敗、勝率65.6%の成績をおさめた。それ以前は、最大で借金12もあったチームは、ポストシーズンへ進出し、その勢いのままワールドシリーズ制覇に至るのである。ちなみに、借金12からワールドチャンピオンに輝いたのは、ナショナルズがMLB史上初めてだった。
そんなパーラが巨人にやってくるのだ。悲願の日本一へ、彼がその原動力になることは間違いない。
※日付は現地時間