侍の4番として期待通りの活躍
熱戦が続いているプレミア12。オープニングラウンドを3連勝で勝ち上がった侍ジャパンは、スーパーラウンドでも、11月13日終了時点で3勝1敗とし、メキシコと並んで1位につけている。
その侍ジャパンで大会初戦から好調を維持し、打線を牽引しているのが4番の鈴木誠也(広島)だ。侍ジャパンの4番として史上初となる3試合連続本塁打を放つなど、ここまで打率.476、3本塁打、11打点、2盗塁と、文句のつけようがない働きぶりを見せている。
11月13日に行われたメキシコ戦でも、初回の2死二塁のチャンスで先制のタイムリーを放つなど、抜群の勝負強さと存在感を発揮して勝利に貢献。今季は打率.335で初の首位打者を獲得したほか、出塁率.453もリーグトップ。28本塁打を放ち、昨季は4個だった盗塁も増えキャリアハイとなる25個をマーク。走攻守で高いレベルの成績を残した。
シーズンでの活躍もあり、プレミア12では侍ジャパンで初めて4番を任され、首脳陣やファンの期待に十二分に応えている。
メジャーも目を見張る打撃力
鈴木はプロ入り4年目の2016年、打率.335、29本塁打、95打点、16盗塁で一気にブレイク。同年のシーズン終了後には、オランダ・メキシコと強化試合を行う侍ジャパンに初招集されると存在感をすぐさま発揮。オランダ戦の延長10回には、左中間スタンドへライナー性で運ぶ満塁本塁打を放つなど、勝負強さとパワーを見せつけた。
スコープ(当時オリオールズ)やプロファー(当時レンジャーズ)ら、メジャーリーガーが名を連ねていたオランダ代表に、試合前の日本の打撃練習を見て印象に残った日本人選手を尋ねると、挙がった名前は鈴木だった。「スイングの速さと打球の強さは、メジャーにもひけをとらない」と、目を見張るものがあったという。
鮮烈な侍ジャパンデビューを飾った鈴木は、2017年3月に開催された第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)のメンバーにも選出されて活躍が期待されたが、5試合に出場して14打数3安打の打率.214、打点0と不完全燃焼に終わった。
柔と剛を兼ね備えた打者
2017年以降毎年、打率3割以上、本塁打30本前後、打点90打点前後をマークし、今や日本を代表する打者のひとりに成長した鈴木。極めつけは、出塁率と長打率を足し合わせた数値OPSが抜群であること。昨季のOPSは1.057のリーグ2位で、今季はリーグトップの1.018をマークした。
四球数÷三振数で算出されるBB/Kもリーグトップの1.27をマーク。この数値が大きいほど三振が少なく四球が多い打者ということになり、鈴木がいかに打ち取るのが難しい打者であるかがわかる。
また、直球に強いことも魅力。球種別の打率をみると、どの球種にも好アベレージを残しているのだが、対直球の打率は.374と特に高く、今季28本打った本塁打のうち17本が直球をとらえたもの。近年、150km台半ば~後半の直球を投げる投手はゴロゴロいるが、決して鈴木は振り負けていない。
打球方向別の打率もバランスが良く、レフト方向の打率が.353、センター方向が.317、ライト方向が.348と広角に打ち分けており、まさに柔と剛を兼ね備えた打者といえる。
4番としての真価が問われる
第1回プレミア12準決勝の韓国戦で侍ジャパンは、9回に3点差を逆転され悪夢のような敗北を喫した。4打数無安打と抑えられた4番の筒香嘉智(DeNA)が、「こういう試合で打たないと」と肩を落とした。
韓国と対戦する11月16日、勝利すれば1位通過での決勝進出が決まる大一番。ここまでは好調を維持し打線を牽引している鈴木だが、この試合では4番としての真価が問われることになる。勝利に貢献し、侍ジャパンの4番として不動の地位を今後築いていくことができるか。鈴木はその可能性を十分に秘めている。