「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

栗山巧、西武一筋18年 球団生え抜き初の2000本安打は達成可能か

2019 7/27 07:00本松俊之
BASEBALLⒸSPAIA
このエントリーをはてなブックマークに追加

ⒸSPAIA

魅力はここ一番の勝負強さ

西武ライオンズの中心打者としてチームを牽引してきた栗山巧は、勝負強い打撃に期待するファンからの熱い声援を受けて、打席に立ち続けてきた。

育英高校を卒業した2001年のドラフトで西武から4位指名を受けた。12年ぶりに日本一となった04年のシーズン最終戦で9番レフトとして初出場し、1安打を放って以来、積み重ねてきた安打は1785本。2000本安打まであと215本に迫っている。

初めて100試合以上に出場した07年の7月からスタメンに定着、その年のオフに背番号が52番から1番に変更となった。それから16年までは、死球によるケガで戦列を離れた12年を除き、毎年140試合前後の出場を果たしていた。

11年には両リーグトップの得点圏打率.380を記録するなど、持ち前の勝負強さを遺憾なく発揮していた栗山だが、数字以上にファンに強烈な印象を与えたのは、ケガの影響で5年ぶりに規定打席に到達できなかった17年のサヨナラ劇だ。

5月21日のソフトバンク戦で初のサヨナラホームランを放つと、8月17日の楽天戦では代打サヨナラ3ランホームラン。さらに、9月17日のソフトバンク戦では押し出し四球でサヨナラ勝ちをもぎ取り、チーム4年ぶりとなるAクラス入りに大きく貢献した。

しかし、この頃からチームの新旧交代の流れもあり、スタメンを外れることも多くなっていった。今年の9月3日には36歳を迎えることもあり、かつてのようなペースで打席に立つことは難しくなってきている。

西武の生え抜きでは初の2000本に挑む

栗山は08年から10年にかけて二桁の盗塁を記録したが、それ以外の盗塁数はすべて一桁で、16年と17年は盗塁ゼロで終わっている。05年から12年までは1番打者や2番打者として出場することが多かった選手だけに意外な数字だ。

最近では終盤に出塁すると代走を送られるケースも多く、走力に関しての評価は高いとは言えない。裏を返せばそれを補って余りある勝負強さや、局面に応じた打撃でレギュラーの座を守り続けている。

栗山選手の年度別成績ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

西武は今シーズン、ここまで90試合を消化しているが栗山の出場は80試合で、打率は.238にとどまる。90試合で63安打なので、単純に計算すると143試合ではおよそ100本。今から37本を積み上げたとすると、シーズン終了後の安打数は1822となり2000本安打まで残り178本。順調にいけば2年後の2021年中に達成することになるが、チーム状況によっては出場機会が減ることも考えられ、達成確実とは言い切れないところもある。

ここで、1つ興味深いデータを紹介したい。NPBで2000安打以上を打った選手はこれまでに52人いるが、パ・リーグの選手で生涯1球団にのみ在籍し、2000安打超えを果たした選手は、福本豊(阪急=2543安打)、広瀬叔功(南海=2157安打)、有藤道世(ロッテ=2057安打)、田中幸雄(日本ハム=2012安打)、福浦和也(ロッテ=2000安打)の5人しかいない。

現在の栗山の年齢、試合数とその5人の達成時を比較してみると、下表のようになる。

パ・リーグ生え抜き選手の2000安打までの数字ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

これを見ると、数字上は2000本安打に十分届くペースであることがわかる。リーグ連覇のため、ソフトバンクを追撃するにはベテラン・栗山は欠かせない戦力だ。西武の背番号1がどこまで節目の記録に迫れるのか注目したい。

※成績は2019年7月25日現在

《関連記事》
栗山巧、万感の思い込もったいぶし銀の一閃【思い出のオールスター⑤西武編】
西武・中村剛也、チャンスで無類の強さを発揮 4度目の打点王も射程圏内
通算400本塁打達成の西武・中村剛也 大記録までの道のりとアーチストぶりを示す3つの数字