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西武・中村剛也、チャンスで無類の強さを発揮 4度目の打点王も射程圏内

2019 7/23 11:00浜田哲男
中村剛也ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

現在進行形のレジェンド

チーム得点数は12球団トップの453点(7月21日終了時点)をマークするなど、打線の破壊力では他のチームを圧倒している西武。そんな強力打線の中軸として、確かな存在感を見せているのが中村剛也だ。

ここまでリーグ2位の69打点(昨季は74打点)を挙げ、4度目の打点王も射程圏内。得点圏打率はリーグ2位の.356と勝負強さを見せている。交流戦では打率.348、得点圏打率.545、5本塁打、リーグ最多の23打点と大当たり。7月19日のオリックス戦では、通算400号本塁打(プロ野球史上20人目、西武の生え抜き初)となるサヨナラ本塁打を放って試合を決めた。

また、交流戦が始まった2005年以降、15年間にわたって積み重ねてきた打点は200の大台を突破(史上初)。自身が持つプロ野球記録を更新する18本目の満塁本塁打も放つなど数々の偉業を成し遂げている。まさに、西武が誇る現在進行形のレジェンドだ。

今もなお進化を続ける

放たれる打球は美しい放物線を描き、過去には6度の本塁打王に輝いた中村。2011年に統一球が導入された際、ほとんどの打者が本塁打数を減少させる中、中村だけが本塁打を量産し、本塁打を打つための技術が卓越されていることを証明した。アーチを描くための打撃はほぼ完成の領域ではないかと見てとれるのだが、近年はさらなる進化を見せている。それが右方向への打球だ。

中村は2017年に27本の本塁打をマークしているが、右方向への本塁打はわずかに2本だった。しかし、28本の本塁打をマークした2018年には右方向へ9本の本塁打を放っており(左方向は17本、中方向は2本)、今季に関しては右方向が7本で最も多く、次いで左方向に6本、中方向には2本という内訳となっている。

中村といえば、左中間方向への滞空時間の長い美しい本塁打を放つイメージがあり、実際に同方向への本塁打が多いが、近年は逆方向への本塁打が増加。広角に長打を打てる打者は脅威だ。元来持つパワーに経験と技術を重ね、今もなお進化を続けている。

満塁時は打率も高い

歴代1位となる18本の満塁本塁打を放っていることは前述したが、今季は満塁時の打率も.476(21打数10安打)とハイアベレージで、2本塁打、30打点をマークしている。前を打つ山川穂高や森友哉の出塁率が高いこともあり、6番を打つ中村が満塁で打席に入るケースも多くなっている。外崎修汰や山川、森といった勢いのある若きクリーンナップの後ろに、チャンスに強いベテランの中村と栗山巧が控えているのだから、相手投手は息をつく暇などない。

昨季は、打線の圧倒的な破壊力でリーグ優勝を手繰り寄せたが、中でも後半戦の勝負どころでの中村や栗山の活躍には目を見張るものがあった。やはり、過去に優勝や日本一を経験しているベテランに頼る部分はとても大きい。中村が大きな怪我なく打線の中軸に居座り続けることが、リーグ連覇を達成するための大きな条件となるだろう。

自身の持つ交流戦の最多打点や通算満塁本塁打といった記録の更新のほか、500号本塁打への期待もかかる。稀代のホームランアーティストからは今後も目が離せない。

※数字は2019年7月21日終了時点