ソフトバンクの交流戦優勝決める1勝
前半戦の山場でもある交流戦が終了した。今年もパ・リーグが勝ち越しを決め、ソフトバンクが通算8度目の優勝を飾っている。今回、ソフトバンクは最終カードで2位の巨人と直接対決だった。
1勝1敗で迎えた最終戦の先発マウンドに登ったのは和田毅。工藤公康監督は百戦錬磨のベテランに大一番を託した。和田は期待に応え5回1失点と試合をつくり、チームを勝利に導いた。
和田はこの白星が今シーズン初勝利だった。昨シーズンは故障の影響で一軍未登板だっただけに2年ぶりの白星、日数に直すと651日ぶりでもある。
さて、このように長期のブランクを経て白星を挙げた投手には誰がいるのだろうか。
最長ブランクは大家友和の5847日
NPBにおける長期ブランクの白星は途方もない記録となっている。2010年に大家友和(横浜)が記録した5847日。およそ16年ぶりにNPBで白星を挙げたのが最長記録だ。大家はNPBからMLBに移籍し、再復帰したためにこのような長期ブランクとなっている。
一般的に考えて、16年以上現役でプレーしつつ白星がないというのは考えにくく、今後もNPBの在籍だけでは及ばないであろう数字であることは間違いない。仮にNPB在籍のみで達成するとなれば、投手から野手へと転向し再び投手として起用された場合だろうか。
その大家に続くのが松坂大輔(中日)だ。松坂は2006年オフにポスティング制度を用いて、西武からMLB・レッドソックスへと移籍。移籍前最後にNPBで白星を挙げたのは2006年9月19日のことだった。
2007年シーズンからはMLBへと戦いの場を移し、8年間で56勝をマークするなどアメリカで結果を残していたが、2014年シーズンオフにNPBへ復帰を決断、ソフトバンクへと入団した。しかし、在籍した3年間で白星は「0」。一軍登板もわずか1試合のみと結果を残せず退団となってしまう。
入団テストを経て2018年シーズンからは中日へ移籍することに。その中日で松坂は2018年4月30日にNPB復帰後初白星を挙げた。これがNPBでは4241日ぶりの白星となり話題を呼んだことは記憶に新しい。
松坂も大家もNPBからMLBへと移籍し、再復帰を果たしたからこその記録と言えるだろう。
ちなみに5月に現役引退した上原浩治(巨人)は2008年10月5日にNPBで最後の白星をマークしていたが、復帰後は未勝利に終わっている。そのため長期ブランクでの記録をつくることはできなかった。
NPBのみでは阿部健太が3580日ぶり
MLB移籍を経ずに最長のブランクを記録しているのは阿部健太(ヤクルト)である。2002年ドラフト4巡目で近鉄に入団し、2003年にプロ初勝利を挙げるなど2勝を記録。しかしその後は勝ち星に恵まれず、オリックス、阪神そしてヤクルトと4球団を渡り歩いた。
そして迎えたヤクルト時代の2013年7月3日に中継ぎとして2003年9月14日以来の白星をマーク。実に3580日ぶりの勝利を手にしたのである。
このように和田の651日ぶり勝利以上にブランクのある白星は多い。もちろん、コンスタントに白星をあげるにこしたことはないが、ブランクがあっても起用されるのは信頼があってこそ。それも投手冥利に尽きるだろう。
ブランクを経て復活する投手たちには敬意を表したい。
※数字は2019年6月25日終了時点