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巨人は吉川尚・坂本の新1、2番が機能、楽天島内は「つなぎの4番」 新たな打順で躍動する選手達

2019 4/9 07:00青木スラッガー
吉川尚輝,坂本勇人,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

巨人は吉川尚・坂本の新1・2番が機能 広島は野間が3番に

開幕から間もないこの時期は各チーム、必要なポストに様々な選手を試しつつ戦い、チームの形を整えようとしている。その中で新たな居場所で存在感を示し、勝利に貢献している選手がいる。例えば、打者ではこれまでとは違った打順で活躍するケースが目立つ。

開幕から3カードを消化した4月7日時点で、セ・リーグ打率トップ3に名を連ねるのは巨人・吉川尚輝と坂本勇人、広島・野間峻祥。いずれも、昨季までと任される打順が異なっている。

打率.455でリーグ首位打者に立つ吉川尚は、昨季は1番打者として1試合のみだったが、ここまで全試合に出場。広島との開幕戦で5打数3安打と絶好のスタートを切ると、9試合すべてで出塁し、3度の猛打賞を記録。ここまで5割の出塁率をマークしており、トップバッターの役割を十二分に果たしている。

吉川は昨季、2番でスタメンに入ることが多かった。1番と3番の強打者の間に入る「つなぎ」の打者としての役割が求められる中、355打席で打率.253、出塁率.304、13犠打の成績を残している。しかし今季は自らのバットでチャンスを生み出し、切り込み隊長として敵チームの脅威となっている。

吉川尚の後ろで2番を打つのが坂本だ。キャリアを通じて1番か3番がほとんどで、昨季も2番スタメンは1試合のみだが、経験が少ない中でも打率.419、出塁率.538とさすがの好打者ぶり。次の3番に丸佳浩が控える巨人上位打線の破壊力は群を抜いているといえるだろう。

セ・リーグ3位の打率.382を残す野間は、丸が退団して最大の課題となっていた「3番打者」に収まりつつある。巨人との開幕2試合は6番打者としてスタメンに名を連ねたが、2試合続けてマルチ安打を放つと、2試合で1安打だった西川龍馬に代わり、3戦目から3番に入った。この試合でもマルチ安打を記録し、以降も好調を維持して3番スタメンを続けている。

広島は西川を含め、バティスタ、松山竜平、安部友裕といった開幕前に3番候補と考えられていた選手たちのエンジンがまだかかっていない。チームも3カード連続負け越しとまさかの最下位スタート。その中で3番野間の打撃が巻き返しへの生命線となっていきそうだ。

楽天・島内が「つなぎの4番」として存在感、ロッテ・加藤は2番定着か

パ・リーグでは楽天・島内宏明が「つなぎの4番」として存在感を放っている。昨季の島内は2回目の規定打席に到達し、打率.292、11本塁打、53打点の成績を残した。主に3番打者を務め、4番でのスタメン経験は昨季4月の1試合のみだった。

今季はオープン戦から4番に入り打率.359をマークすると、開幕後も4番を務め、ここまでリーグ3位の打率.382を記録。本塁打ゼロ、3打点はチームの顔ともいえる4番打者の数字としては物足りなく映るが、新加入の3番・浅村栄斗から、4本塁打11打点と当たっている5番・ウィーラーへ“つなぐ”ことで打線に勢いを生んでいる。

7日のオリックス戦では9回二死から相手守護神・増井浩俊の決め球フォークをしぶとくセンター前にはじき返す同点タイムリーを放ち、敗戦濃厚の試合を引き分けに持ち込んだ。新4番としてこういった自分で決めるシーンがこれからどれだけ見られるか。

ロッテ・加藤翔平は開幕から全試合において2番でスタメン出場し、打率.333、リーグ3位タイの4本塁打と絶好調だ。開幕戦の第1打席でパ・リーグ1号となる1発を楽天のエース・岸孝之から放つと、6日のソフトバンク戦では2打席連続弾を放ってチームを勝利に導いた。昨季は69試合132打席の出場。スタメン時も打順は下位が主だったが、今季は上位打線でレギュラーを掴みつつある。

まだまだシーズンは始まったばかりだが、少しずつ各チームの形が見えてきた。各監督の打ち出した新ラインナップがこれから定着していくのかは、チームの状態を左右する大きなポイントだろう。新たな居場所で躍動する選手たちの今後に注目していきたい。