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「松坂効果」で大盛況のナゴヤドーム 昨季はセで最も本塁打が出にくい球場に

2019 3/16 07:00SPAIA編集部
ナゴヤドーム,ⒸSPAIA
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1試合あたりの本塁打数は12球団最少

2015年はヤフオクドーム、今季はZOZOマリンスタジアムが外野にテラス席を設置。球場のサイズが見直されつつある。そんな中で広大なグラウンドと高いフェンスを誇り、屈指の「投手有利」球場として知られているのが中日の本拠地・ナゴヤドームだ。今回はグラウンドで生まれる様々なデータからこの球場の特性を探る。

ナゴヤドーム,ⒸSPAIA

※PFはパークファクターの略で、相対的な「本塁打の出やすさ」や「得点の入りやすさ」を球場ごとに比較することができる指標。

セ・リーグ発足以来、中日のホームとして使用されていたナゴヤ球場は、両翼が91.4m、中堅が119m(現在はナゴヤドームと同じサイズに改修されている)で、現在も二軍戦や練習で使用されている。3068試合で5677本の本塁打が生まれ、1試合あたり1.85本。同時代に巨人が本拠地としていた後楽園球場(1.45本)と比べ、ハイペースで本塁打が出ていた。

対して1997年開場のナゴヤドームは、ホームから外野フェンスまでの距離が両翼100メートル、中堅122メートルと、プロ野球の本拠地球場として最大級のサイズを持ち、外野フェンスも高い部類に入る。1510試合で1778本、1試合平均はナゴヤ球場より0.67本少ない1.18本。これは通算の本数として、現在の12球団の本拠地球場で最少である。

相対的な「本塁打の出やすさ」や「得点の入りやすさ」を、球場ごとに比較することができる「パークファクター(以下、PF)」(リーグ内で比較し、平均値が1.00となる)を見ると、昨季は本塁打PFが0.55、得点PFが0.77。ともにセ・リーグで最も低い数字が出た。

PFは、ホームチームの打力による影響を極力排除して算出される。本塁打の少なさは中日打線に責任があるわけではなく、球場としての特性ということだ。

PFが近い甲子園と比べると左打者にはチャンスあり

昨季のナゴヤドームのPFは、阪神の本拠地・甲子園球場と非常に近い数字になった。甲子園は本塁打PFが0.62、得点PFがナゴヤドームと同じ0.77。屈指の「投手有利」球場同士だが、どのような違いがあるのだろう。

2018年ナゴヤドーム成績,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA


安打の内訳を見ると、1試合あたりの本数では本塁打、単打、三塁打があまり変わらず。違いがあったのは二塁打。甲子園の2.82本に対し、ナゴヤドームは3.25本出ている。しかしファウルフライは、ファウルゾーンが膨らんだ形状をしているナゴヤドームの方がやや多かった。

明確な差が出たのが右方向への本塁打だ。ナゴヤドームは右方向が方向別で最も多い36本(43.9%)。甲子園は23本(33.8%)となる。左本と中本はナゴヤドームが1本ずつ多いだけで、昨季はここで本塁打数の差が生まれた。

甲子園は右翼から左翼方向へ吹く浜風の影響で、右方向への打球が押し戻され、なかなか伸びない。つまり、左打者にとってチャンスがあるのはナゴヤドームだ。

ビジターチームではDeNA勢の活躍目立つ

昨季ナゴヤドームで活躍した打者にも注目したい。最多安打は79本で大島洋平。前年からやや数字を落とした大島だが、ホームでの打撃は健在だった。平田良介とともに、足を活かして4本の三塁打も稼いだ。

新外国人のアルモンテはナゴヤドームトップとなる19二塁打を放ち、リーグ最多タイの37二塁打をマーク。一方、チームトップの26本塁打を放ち、頼れる主砲として大活躍したビシエドだが、ホームでは7本しか本塁打を打つことができなかった。

2018年ナゴヤドーム,個人成績,ⒸSPAIA

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ビジターチームは中日が5つ負け越し、苦手だったDeNA勢によく打たれている。スタメン定着したソトはビシエドと1本しか変わらない6本塁打。ソトはホームの横浜スタジアムでも20本と球場問わず、本塁打を量産して本塁打王に輝いた。

最後に、昨季の観客動員について。Bクラスが続く暗いチーム事情とは対照的に、昨季は開幕から大盛況。1試合平均の観客動員は、前年から8.3%増となり(3万231人)、リーグ優勝した2010年以来の3万人超えとなった。

松坂大輔の活躍による「松坂効果」が最大の要因といえそうだが、球場自体も少しずつ変わってきている。開場20周年を迎えた2017年に横幅106メートルの大型ビジョンが設置され、昨季は照明設備がカラフルな演出も可能なLEDに変更。人工芝も7年ぶりに張り替わった。

ファンサービスとしても、限定ユニフォームの配布などを行う「昇竜デー」が定番化するなど、地道な努力が実を結びつつある。今季は一気に増えた客足が定着するのか注目だ。

※数字はすべて2018年シーズン終了時点

(本文:青木スラッガー)

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