開場当初はビッグエッグと呼ばれていた
日本で最初のドーム球場として開場した東京ドーム。巨人が本拠地として使っていること、及び国際試合やMLB開幕戦が行われることもあり、多くのファンにとって馴染み深い球場でもある。そんな東京ドームにはどのような特性があるのだろうか。
※PFはパークファクターの略で、相対的な「本塁打の出やすさ」や「得点の入りやすさ」を球場ごとに比較することができる指標。
巨人の本拠地として1988年3月に開場した東京ドームは、日本で初のドーム球場としても知られている。外から見ると卵のように見えることから「ビッグエッグ」とも呼ばれていたが、現在はあまり聞かない。
開場に伴い、巨人と日本ハムが1988年に本拠地を後楽園球場から東京ドームへと移したが、2004年から日本ハムは北海道へ移転したため、現在は巨人1球団のみが本拠地として利用している。東京という集客に適した場所ということで、その他の球団が地方試合として本拠地開催することもある。
2018年シーズンまでに公式戦通算2996試合を行っているが、これは現在の本拠地球場の中では阪神甲子園球場(5268試合)と明治神宮野球場(3522試合)に次いで、3番目に多い数だ。
また通算本塁打数は6578本と多く、明治神宮野球場(7301本)についで2位。1試合あたりの本塁打数2.20本は現在トップで、1試合につき2本以上の本塁打が放たれている。12球団ワーストであるナゴヤドームの1.18本(1778本/1510試合)と比べると、約1本分の差があることになる。
本塁打PFは高いものの得点PFは平均的
昨シーズン東京ドームでは64試合が行われ、143本塁打が生まれている。1試合あたりの本塁打は2.23本で通算では2.20本だ。
本塁打パークファクターは1.15となっており、明治神宮野球場の1.76、横浜球場の1.25、に次ぐ3位。一方、得点パークファクターは0.98と、平均値の「1」に近い。
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この2つの数値から、本塁打は若干出やすいが、得点の入り方は本塁打ほどではないということがわかる。つまり「本塁打が多い=得点が入りやすい」ではないのだ。当然のことだが、野球の勝敗は本塁打の数ではなく得点で決まる。本塁打パークファクター、得点パークファクターの取り扱いには注意したいところだ。
その他の数字に目を向けると、昨シーズンは三塁打の数が11本と全12球場の中で最も少ない数字となっている。これは、東京ドームを本拠地とする巨人に俊足の打者が少ないというチーム編成上の事情もあるだろう。だが、どちらかというと、東京ドーム特有の右中間、左中間の狭さが要因と考えられる。
東京ドームは、中堅までの距離(122メートル)、右翼・左翼までの距離(100メートル)だけを見ると決して狭くないが、右中間・左中間の膨らみが他球場と比べると小さく、これが三塁打の本数に影響を与えていると言えそうだ。
DeNAの選手が好結果を残す
個人に目を向けると、巨人の選手で最も本塁打を放ったのは岡本和真(13本)だったが、通算では33本塁打を放っており、割合にすると39.4%。すなわち、ビジター球場では60.6%の20本塁打という計算だ。実は本拠地以外で放った本塁打の方が多いのだ。
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一方、ビジターながら東京ドームで結果を残していたのがDeNAの選手たちだ。安打、本塁打は筒香嘉智(18安打/6本塁打)でそれぞれトップ。二塁打は大島洋平(中日)と並んで宮﨑敏郎、嶺井博希が4本でトップタイになった。とくに嶺井は7本の二塁打中4本が東京ドームで記録されており、巨人投手陣にとっては厄介な相手だったようだ。
1試合あたりの本塁打が多い傾向もあり、大量得点の試合が多いと思うかもしれない。しかし、データから見ると得点数は至って平均的なことがよくわかる。こういったところが野球のおもしろさのひとつなのかもしれない。
※数字はすべて2018年シーズン終了時点
(本文:勝田聡)
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