日本で2番目に古い本拠地・神宮球場
プロ野球はスポーツの中でも珍しく、フィールドの大きさが球場によってまちまちである。中には左右非対称となっている球場もあるほどだ。では、日本プロ野球の12球団が本拠地として使用している球場は、それぞれどのような特性があるのだろうか。今回は明治神宮野球場の数字を見ていきたい。
※PFはパークファクターの略で、相対的な「本塁打の出やすさ」や「得点の入りやすさ」を球場ごとに比較することができる指標。
ヤクルトの本拠地である明治神宮野球場(以下、神宮球場)は、12球団の中で2番目に古い本拠地だ。最も古い阪神甲子園球場が開場(1924年8月)してから、およそ2年後の1926年10月に開場している。
使用するのはプロ野球だけでなく、大学野球、高校野球など多岐にわたっており、特に大学野球にとっては聖地にもなっている球場だ。
昨今は球団自ら、またはその子会社や関連会社が球場を運営することも増えてきた。しかし、神宮球場の所有者は明治神宮となっており、ヤクルト球団が運営していない。また現在は建て替え計画が進行しており、2027年には現在の秩父宮ラグビー場の位置に新球場ができる予定だ。
意外!? 1試合あたりの本塁打数はベスト3に入らず
これまでに、神宮球場で生まれた本塁打は3522試合で7301本ある。現在、本拠地となっている12球場の中ではもっとも多い本数だ。1試合あたりに換算すると2.07本となり、東京ドーム(2996試合/6578本)の2.20本に次ぐ数字である。
また、昨シーズンは67試合で169本となっており、1試合あたり2.52本の本塁打が生まれたことになる。1試合あたり2本から3本ほどの本塁打が飛び出す計算となるが、この数字は12球団の本拠地でベスト3に入っていない。
各球場の数字を見ると、メットライフドーム(66試合/177本)、ヤフオク!ドーム(66試合/177本)が2.68本で1位タイとなり、横浜スタジアム(71試合/182本)の2.56本が3位。そして4位に神宮球場が名を連ねている。
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もちろん球場の特性だけでなく、野手陣にも影響される数字だ。しかし、山田哲人やウラディミール・バレンティンといった屈指の強打者がいるにも関わらず、ベスト3にすら入らないのは少し意外かもしれない。本塁打のパークファクターで見ると神宮球場は1.76。2位が横浜スタジアムの1.25。0.51の差をつけて神宮球場がトップの数値となっている。本塁打が出やすい球場ではあるようだ。
方向別の本塁打数を見ると、左翼方向が最も多く89本、続いて右翼の49本、最後に中堅の31本となる。山田哲、バレンティンがともに右打者ということもあり、やはり左翼方向が多い。また、中堅方向の31本は12球場で最多の数となる。神宮球場の中堅は120メートルだが、これは阪神甲子園球場と横浜スタジアムの118メートルに次いで3番目に短い。この距離が大きく影響していると言えそうだ。
ファウルフライの多さとカープ戦士の活躍目立つ
その他に目立つのがファウルフライの多さである。昨シーズンは171個のファウルフライがあったが、これはZOZOマリンスタジアム(185個)に次いで2番目の多さとなる。しかし、このオフにZOZOマリン球場は改修を行っており、内野部分のファウルグラウンドは狭くなる。今シーズンは神宮球場のファウルフライが最も多くなるかもしれない。
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選手個人に目を向けると、バレンティンが25本塁打でチームトップ。安打数では山田哲の81本と主力選手が順当に結果を残している。一方でビジターチームの数字を見ると、安打(菊池涼介)、三塁打(田中広輔)、本塁打(バティスタ)で広島の選手がトップの本数を叩き出した。このことからも神宮球場で広島打線にやられていたことがよくわかる。ちなみにヤクルトが神宮球場で負け越したのは広島だけであった。
どのタイミングで新球場へ移り変わるのか正確な時期は不明だが、現在の神宮球場で試合が行われるのもあと数年。それまでの期間も本塁打が出やすい傾向が、変わらず続いていくことになるのだろうか。また、ファウルフライの多さにも目を向けることで、違った楽しみ方ができるかもしれない。
※数字はすべて2018年シーズン終了時点
(本文:勝田聡)
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